閑話：side安室 ページ14
自宅に戻って来てから、Aさんと夕食を共にとって、少し話をして、時間になったためAさんが眠る。リビングに一人になった僕は、夕方、世良真純に言われて言葉をなぞった。
――世「守れよ、この子のこと」
たった一言だけ、彼女は僕に告げたのだ。あれだけ大袈裟に声を出していたにも関わらず、たったそれだけ。
けれど、その言葉に込められた気持ちを汲み取れば、頷く他にないのだ。
安「(あの子は、あの男が危険だということを知っている。だから、こちらに釘を刺して来たということか……)」
寝室の方に目を向ける。いまあそこにはAさんが眠っている。
安「(……なにを抱えているんだ、彼女は……)」
調べても調べても、彼女のことに関してはほとんどなにも出てこないと言っても過言ではない。
園子さんが言っていたように、ある日突然出て来たのだ。それ以前の経歴などが全くわからない。
思わず小さくため息をつく。
彼女が悪いわけではないとわかっていても、なにもつかめない自分の能力の無さに苛立ちが募る。
守りたいと思ったいる少女を守ることすらもできないのだと、まるで見えない何かに突きつけられている感覚だ。
安「……そんな馬鹿なこと、許さない……っ！」
小さく唸るような声が出る。
この手から、この腕から、抜け出すなんてこと、許さない。
たとえ抜け出してしまったとしても、またその手を取るだけだ。またその体を強く抱きしめるだけだ。儚く消えそうな彼女の存在を、決して消してしまわないように。
安「……とにかく、まずは携帯を持たせないと、というところですね」
未だに携帯を持っていないのもあって、結構不便がある。特に僕の中で。
連絡を取りたくとも取れないというのは案外不便なんだと実感した。特に、彼女はよくわからない奴らに狙われているため、心配でならないのだ。それなのに連絡手段がないというのは不利に他ならない。
とりあえず、早々に持たせなければならないと思う。
……次の休みにでも一緒に買いに行こう。持たせて仕舞えばこっちのものだし。
いらないですと拒絶されても、流石にそれはこっちが拒絶する。そして絶対に持たせる。
そこまで考えて、そろそろ寝るかと思い、迷いなく寝室に入っていく。
ベッドの上で静かに眠るAさんを見つめて、ほっと胸をなでおろす。時々、うなされていることがあるが、今日は大丈夫らしい。
彼女の隣に滑り込むように入り、そしてその体を抱きしめて僕も眠りに入った。
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霞葉 - このお話、とても好きです。続き、楽しみに待っています。 (2020年6月22日 12時) (
レス) id: a64398df50 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - RURUさん» RURU様、お久しぶりです！いつもあたたかなコメントを本当にありがとうございます。大変お待たせしてしまいましたが、ちょこちょこと更新も再開したいと思っておりますので、またおヒマな時に遊びに来てください！ (2019年2月17日 14時) (レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - 白昼夢さん» 白昼夢様、コメントありがとうございます。更新大変遅くて申し訳ありません……。にもかかわらず、作品を大好きと言っていただける優しさにただただ感謝しております。ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2019年2月17日 14時) (レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
RURU(プロフ) - うおおおおおおおおおおおおおお！！！更新待ってましたーーー！もう大好きです！いつまでも楽しみにしてます！ (2019年2月14日 12時) (レス) id: b7492cc28b (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢 - ああああああああああああああぁあぁああぁ！！！更新されてるうぅぅうううぅうう！！！って思いました！w頑張ってください！この作品大大大好きです！！ (2019年1月16日 16時) (レス) id: 57897e1d91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年7月11日 14時
