優しさをください。8 ページ10
私の目の前に回り込んで私の顔を見た安室さんは驚いたようにその青の瞳を見開いた。
『(あ、青い瞳……)』
そんな的外れなことを考えながら、私は安室さんを見つめる。
安室さんはそっとその長い指を私の目元に持ってきて、目の下を触る。
安「……眠れませんでしたか？」
『……そういう、訳ではないんですけど……』
安「こんなにも隈をつくっているのに？」
まあ、そうなりますよね。わかってはいたんだけど、どうしてもこれ以上迷惑をかけたくなくて、口からはごまかしの言葉が出てきてしまう。
本当は、夜中にあのおぞましい光景が夢に出てきて思わず叫びそうになっって目が覚めてしまったんだけど、全身の痛みで悲鳴がかき消されたと同時に完全に頭が覚醒してしまった。
もう一度寝ようかなという考えはあったんだけど、またあの悪夢を見るかもしれないという恐怖に駆られて仕舞えば、それ以上睡眠を取ろうとは思えなくて、なんとか体を叱咤して、寝室から抜けると、リビングの電気をつけっぱなしにしてソファーで眠っている安室さんを見つけた。
私はこの人から眠る場所を奪ってしまったんだと考えると、申し訳ない気持ちになってしまい、とにかく、風邪を引かないようにと思って、寝室に戻り、掛布だけでも彼の体にかけたのだ。
あとは起こさないように音を立てないようにして寝室に戻り、ベッドの上で夜明けを待っていたんだけど……。
『そんなにも、私、逃げそうでしたか？』
安「実際、蘭さんのところにいたときは野宿するとか言っていたじゃないですか」
『……そうですね。そうでした……』
安「でも、少しでもいいから眠ったほうがいいですよ。ただでさえ体が傷だらけなのに、これ以上の負担をかけてはいけません」
『…でも。怖い夢を見る……。見たくないから、眠らない』
安「では、あなたが眠ってからも、僕がそばにいますから。少しでもいいから眠ってください」
『……でも、安室さんも…お仕事……が、』
安「バイトは電話を入れてお休みをもらいますから。事情説明はコナンくんや蘭さんにも口添えをいただいてやります。だから、大丈夫ですよ」
『……どうして…そんなにも、優しい…………』
あ、だめだ。
この人の声、心地よすぎて、睡魔が襲ってくる。
眠気が、全身を鉛のように襲ってきて、逆らえなくなる。瞼を下ろしたくなくて必死に抵抗していると、それに気づいた安室さんが私の瞼をおろすために手を当ててきた。
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妃沙(プロフ) - 明里香さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2018年6月2日 20時) (
レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 安室sideに誤字がありました。「毒の車」ではなく、「僕の車」です。 (2018年6月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！更新頑張ります！！ (2018年5月27日 8時) (レス) id: 35e497a401 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 凄く面白いです！！、更新頑張ってください！応援しています！！！ (2018年5月26日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年5月18日 8時
