優しさをください。30 ページ40
私を見て、にたりと笑みを深める男。見たことのない男だった。私を襲ってきた小太りの男ではない。すらりと背が高い、紳士のような男。それなのに、感じられるのは恐怖しかなくて。
がたんっ、と思わず立ち上がる。その後につられたのか、四人が気づき、私の方を向く。
はくはくと、何かを言わなければと思うのに、声が出なくて、助けてと声を出すこともできない。
安「……Aさん……？」
どうしたんですか、と。優しく声をかけてきて、私のそばに寄ってきてくれる、青の瞳を持つ人。その体で、私の視界を遮って、男から私を隠すようにしてくれる。
その行動が意外で、私は出ない声を必死に振り絞る。
『な、……で……？』
安「しっ、静かに。動かないで」
真剣なその声に、私は口をしっかりと閉ざす。もともと声が出ないほどの恐怖を感じているのだから、難しいことではなかった。
恐怖でこわばった体を必死に動かして、目の前にいる安室さんに手を伸ばす。安室さんの服をしっかりと掴んで、私は涙が溜まる瞳で彼を見上げる。
私の恐怖を理解しているからなのか、安室さんは優しく私に微笑んだまま、私のしたいようにさせてくれている。
安「コナンくん」
コ「なに？」
安「Aさんのそばにいて、何かあったら頼むよ」
コ「……説明がなってないよ、安室さん……。でも、わかった」
そう言って、コナンくんは私の差がそばに来て、私の手を握ってくれた。それに一瞬びくりと体が震えたけれど、コナンくんだという事実に、ほっと息をつく。
と、店に入ってきた男が声をかけてきた。
しかも、私に向かって。ピンポイントで名前まで呼んで。
男「A様、迎えに来ましたよ」
どろりとした声に、体がさらにこわばる。それに気づいたコナンくんが、私の手をさらに強く握ってくれている。
なのに、なんの安心もできなくて、怖くなる。
コ「Aねーちゃん、落ち着いて。ボクも、安室さんもそばにいるから」
『こ、コナン、く、……』
コ「落ち着いて。大丈夫だから」
私の様子がおかしいと気づいたのか、蘭さんも私のそばに寄って来てくれる。梓さんはカウンターの中に避難してくれる。多分、あんまりこっちに来ても迷惑だと考えたための行動だろう。
くるりと、安室さんが私をかばうように背中を向けて男と対面した。
安「どちら様ですか？」
男「迎えに来たんだ。A様を！」
安「人違いでは？」
男「そんなはずはない！」
男が大声を上げる。
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妃沙(プロフ) - 明里香さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2018年6月2日 20時) (
レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 安室sideに誤字がありました。「毒の車」ではなく、「僕の車」です。 (2018年6月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！更新頑張ります！！ (2018年5月27日 8時) (レス) id: 35e497a401 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 凄く面白いです！！、更新頑張ってください！応援しています！！！ (2018年5月26日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年5月18日 8時
