閑話：side安室−6 ページ32
あの後、Aさんは蘭さんに連れられて毛利先生の自宅まで行き、蘭さんの部屋にこもって治療を受けている。その間、僕は梓さんに頼まれていた食材をポアロにおいて、ポアロで時間を潰していた。探偵事務所の自宅に行かなかったのは、またAさんに拒絶されたらと思うといけなかったからだ。
たったあれだけのことなのに、如何してかこんなにも自分の胸を締め付けてくる。
梓「…安室さん、大丈夫ですか？」
安「あ、梓さん……」
何を言っていいのかわからなくて、言葉を濁してしまう。
梓「眉間にすごくシワがよってましたよ。何か悩み事ですか…？」
安「……悩み事…そう、ですね……。こんなに、どうすればいいのかわらなくなったのは、初めてです」
梓「安室さん……」
そう、僕はわからないのだ。どうすればいいのかがわからない。
あんなにも傷ついた彼女に、なんと言葉をかけていいのかわからない。
彼女に触れていいのかもわからない。
手を伸ばしていいのかもわからない。
何が正解で、何が不正解なのか。全くわからない。まるで、出口のない迷路に迷い込んだかのように、先が見えない。
思わず、大きなため息をついてしまう。
梓「安室さん……それは、恋の悩みですね！？」
安「…………はい？」
突然の梓さんの言葉に、思わず目抜けな声が出てしまった。けれど、梓さんは僕の言葉が届いていないのか、瞳をキラキラさせて僕を見つめていた。
……なんだ、この状況。
梓「どこのどなたですか？もしかして、先ほど横抱きにされていたあの子ですか？うーん……蘭さんと同じくらいの年齢に見えましたから、まだ高校生くらいですか……でも、恋に年齢なんて関係ありませんよね！！」
安「ちょ…、あ、梓さん…？」
梓「大丈夫です！どれだけSNSが炎上してしまっても、私は安室さんの恋を応援しますから！」
何故だろう。話が全く通じていないように感じるのは気のせいではないと思う。どうやったら梓さんを納得させることができるのだろうか。
安「……梓さんが思っているようなことではないんですが……」
とりあえず否定してみるが、目の前にいるはずの梓さんは僕の言葉を全く聞いてくれていない。困ったものだ……。
しかし、梓さんの話を聞いていて、確かに思ったことは、あった。
安「(……そうか。僕は……)」
あの子の笑顔が見たい。
ぎこちない笑みではなく、心の底から溢れるような、笑顔を――。
――僕は、見たいのだ。
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妃沙(プロフ) - 明里香さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2018年6月2日 20時) (
レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 安室sideに誤字がありました。「毒の車」ではなく、「僕の車」です。 (2018年6月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！更新頑張ります！！ (2018年5月27日 8時) (レス) id: 35e497a401 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 凄く面白いです！！、更新頑張ってください！応援しています！！！ (2018年5月26日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年5月18日 8時
