閑話：side安室−2 ページ28
男の手首を握り、意味のわからない行動を止める。一瞬、本当に一瞬だったけれど、彼女を見た。すると、視線が合った。しかし、その顔を見た時に、先ほどの怒り以上に怒りを覚えて、我を忘れそうになった。
それが、男に対して出てしまった。ぎりっと、そのまま骨を折る勢いで男の手首を締め上げる。
僕が突然力を強めたことにより、痛みが発生した男は、何かを喚いたいるが、男がなにを言っているのか、正直に理解できない。
ああ、きっと日本語を喋ることができないのだろう。
男「離せっ！離せ離せ離せっ！触るなっ！」
男の声がようやく耳に届くと同時に、この男は一体なにを言っているのかと思う。
安「それは僕のセリフだ。あなた、今なにをしようとしていたんですか？」
男「お前には関係ない！離せ！！」
安「関係なくないから言っているんですが。とにかく、これは僕の車です。あまり乱暴をしないでください」
そう言った瞬間、今まで喚き散らしていた男が静かになる。不気味なほどのその静けさに、眉をしかめる。
男「……お前の車、だと？」
安「ええ、そうですよ。僕の車です」
そう答えた瞬間、男はにたりと、彼女を見ながら醜く笑った。
男「そうか、にいちゃんの車か。なら話が早くて助かる。その車に乗っている女の子。わたしのツレなんだ。見つけてくれてありがとう」
男のそのことばに、なにを言っているんだと冷酷に言いそうになったけれど、何とかそれを飲み込んだ。ここには彼女もいる。そんな僕を見て、彼女が恐怖しないとは言い切れない。出来るだけその可能性は排除していかなければならない。
安「残念ですが、彼女は僕のつれですよ」
男「そうなのか？なら、Aちゃんに聞いてみるといい。……Aちゃん？」
瞬間の、男の気持ち悪い視線で、彼女が思い切り恐怖する。
僕が掴んでいない逆の手を伸ばして、彼女に恐怖を与えていく。
そのまま殴り飛ばしてしまいそうになるのを、ここでも我慢する。何とか理性で抑えつける。これほどに怖がっている彼女の前で、そんな行動をしてはならないと。
必死にこらえて、言葉を投げかけた。
安「……随分と怯えているようですね。どうやら人違いのようだ。お引き取り願えますか？」
男「そんなはずはない。そんなはずはない！」
狂ったように叫び散らす男は、再び拳を握りこみ、窓をなぐりつけようとする。
車内では、恐怖に震えているAさんがいる。
安「いい加減にしてください」
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妃沙(プロフ) - 明里香さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2018年6月2日 20時) (
レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 安室sideに誤字がありました。「毒の車」ではなく、「僕の車」です。 (2018年6月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！更新頑張ります！！ (2018年5月27日 8時) (レス) id: 35e497a401 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 凄く面白いです！！、更新頑張ってください！応援しています！！！ (2018年5月26日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年5月18日 8時
