優しさをください。20 ページ24
安「――こんなところでなにをしているんですか？」
ぱしっと、男の手を横から掴んだのは、空色の瞳を持つ、男性。
『(安室さん……っ！)』
声が出なかったけれど、その姿と声を聞いて、私は驚くほどの安堵をもたらされる。安室さんがちらと私の方を見た。
一瞬だけ目があったけれど、それはすぐにそらされる。しかし、私を見た後の安室さんの怒りは凄かったんだと思う。
掴んでいる男の手をこれでもかというほどに握り、ギリギリと締めていく。男が痛みに声をあげても、まるで聞こえていないかのように振舞っている。
男「離せっ、離せ離せ離せっ！触るな！」
安「それは僕のセリフだ。あなた、今何をしようとしていたんですか？」
男「お前には関係ない！離せ！！」
安「関係なくないから言っているんですが。とにかく、これは僕の車です。あまり乱暴をしないでください」
男「……お前の車、だと？」
安「ええ。そうですよ。僕の車です」
車の中で、男と安室さんが話しているのを聞いているしかできない。安室さんを確実に巻き込んでしまったということに、申し訳なさを感じつつ、それでもまだこの車内にいる間は大丈夫だと自分に言い聞かせてじっとしている。
と、男が突然私を見てにたりと笑った。
背筋がぞくりとする。
男「……そうか、にいちゃんの車か。なら話が早くて助かる。その車に乗っている女の子。わたしのツレなんだ。見つけてくれてありがとう」
安「残念ですが、彼女は僕のつれですよ」
男「そうなのか？なら、Aちゃんに聞いてみるといい。……Aちゃん？」
『……っ！？』
体が震える。見ないでほしい。手を伸ばさないで。
私に触ろうとしないで。
怖い。怖い、怖い怖い怖い……！！
安「……随分と怯えているようですね。どうやら人違いのようだ。お引き取り願えますか？」
男「そんなはずはない。そんなはずはない！」
狂ったように叫んで、再び車の窓を拳で叩きつける男に、さらに恐怖を覚える。何がどうなっているのか。どうしてこうなっているのか、私には全くわからないのに。
なぜか、私が渦中にいる。
安「いい加減にしてください」
静かな声で、安室さんはそう言って、再び男の蛮行を止めに入る。しかし、今度は男の方も安室さんに対して反撃をした。
拳を振りかぶり、安室さんめがけて殴ろうとしている。
それを見た瞬間、私は思わず声をあげた。
『――安室さんっ！！』
私の叫び声を聞いて、安室さんは少し驚いたように空色の瞳を開いた。
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妃沙(プロフ) - 明里香さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2018年6月2日 20時) (
レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 安室sideに誤字がありました。「毒の車」ではなく、「僕の車」です。 (2018年6月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！更新頑張ります！！ (2018年5月27日 8時) (レス) id: 35e497a401 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 凄く面白いです！！、更新頑張ってください！応援しています！！！ (2018年5月26日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年5月18日 8時
