優しさをください。16 ページ20
しばらくその笑顔に見とれてしまったけれど、ハッとして私は差し出されているそのマグカップを両手で受け取った。少し熱くて思わず手を引いてしまうと、安室さんは「すみません。持ち方を変えますね」と言って、マグカップの上を片手で持ち、私が受け取りやすいように取っ手部分を空けてくれた。
それに感謝の言葉を述べつつ、私はそれを受け取り、中に入っているホットミルクを一口、冷ましてから飲み込む。
体に暖かさが染み渡るように、体の中を通っていく感覚がわかる。
知らずのうちに、ほっと安堵の息が出る。
それを見た安室さんは安心したように私の髪をその大きな手で優しく撫でてくれた後に、背を向けてキッチンに戻っていった。くしゃりと、本当にたったそれだけだったのに、私はなぜか恥ずかしくなって、その赤くなった顔を隠すためにうつむいたのだった。
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お昼ご飯を食べさせてもらった後、私は再び蘭さんのところへ行って手当をしてもらうために安室さんの車に乗っている。
……どうやって連れてきてもらったかって？もちろん、最初と同じ方法ですよ。横抱きにされましたよ。傷に障るから暴れないでくださいって、少し困ったような表情で言われて仕舞えば、もう何も言えませんよ。言えませんよ！
そもそも、迷惑をかけているのに、これ以上迷惑なんてかけられない。しかし、私が思っている行動や言葉は全て封じられてしまうため、どうやって遠慮すればいいのかわからないんですよ……！
ということで、私半分ほど諦めて安室さんにされるがまま状態になっている。
助手席に降ろされて、安室さんにシートベルトをつけてもらう。
……え？自分でつけられるでしょって？私もそう思ってそう言ったんですけど、笑顔で「僕がやりたいんですよ」なんて言われたらもう何も言い返せないとご理解いただきたい。結局、本当にすべてのことをしてもらい、私は安室さんが運転する車でおとなしく座っていた。
安「あ、少し寄り道してもいいですか？」
『あ、はい。どうぞ。私はこの車の中で待たせてもらいますけど』
安「そうですね。その方が僕も安心です」
『どこに行かれるんですか？』
安「近所のスーパーです」
『…………。……？』
安「ポアロ……あ、バイト先なんですが、そこで一緒に働いている方に電話をしたら、来るついでに買い物してきてほしいと頼まれたので」
そうなんだ、と思いつつ、この人、いつ電話したんだろうという疑問は飲み込んだ。
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妃沙(プロフ) - 明里香さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2018年6月2日 20時) (
レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 安室sideに誤字がありました。「毒の車」ではなく、「僕の車」です。 (2018年6月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！更新頑張ります！！ (2018年5月27日 8時) (レス) id: 35e497a401 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 凄く面白いです！！、更新頑張ってください！応援しています！！！ (2018年5月26日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年5月18日 8時
