優しさをください。15 ページ19
安室さんの治療が終わってから、私はそのままソファーに座りっぱなしにされていた。
というのも、昨夜から結局何も食べていないという話になり、今安室さんが何か食べられるものを作ってくるということになったのだ。申し訳ないからいいですと言ったのだが、当然のごとく、そんなことは気にしないでいいですよと笑顔で言われれば従うしかできない。
ふわりと、いい匂いがしてくる。その匂いを嗅いで、私は初めて空腹感を覚えた。
相当に気を張っていたらしいというのを自覚して、なんだか自分のその行動に意味もわからず疲れた。
肩の力を抜いて、体を完全にソファーに預けて安室さんが戻ってくるのを待つ。と言っても、ソファーからキッチンは丸見えなのだから、彼が動いているというのは見えているため、その行動をじっと見つめているだけなのだけれども。
『(お腹すいたなぁ……)』
ようやくまともに働き始めた思考が空腹を訴えてくる。
安室さんの後ろ姿を見つめながら、ご飯は何を作っているのかなと想像する。
その時に、ふわふわと、安室さんが動くのと一緒に動いている髪に目がいった。ちょっと長めの金髪。よく見れば、褐色の肌だなと、今更それらを認識する。
水を流す音がして、少しだけ身を乗り出せば、袖をまくって何かを洗っている姿が見える。細身なのに、程よくついた筋肉を見て、ああ、男の人なんだなと実感する。
そういえば、私、安室さんの年齢も知らない。
でも、見た目的にとても若いから、多分、二十五とかそこら辺なんだろうなー、とぼんやりと考える。
手際よく準備を進めている彼が、突然私の方を振り向いた。驚いてかrだが一瞬硬直してしまう。けれど、すぐに優しい微笑みを見せてくれたことに安心する。
安「ホットミルク、飲みますか？」
『……いいんですか？』
安「もちろん。いいですよ」
その言葉に、私は、『じゃあ、お言葉に甘えて…』と返事をすると、すでに準備していたのか、マグカップを手に。安室さんが一度キッチンから離れて私の方に歩み寄ってくる。
手にもたれているそのマグカップは、空色のマグカップだった。それに驚いて、差し出されたそれを受け取ることも忘れて安室さんをじっと見つめてしまう。
それに気づいたのか、安室さんは優しく微笑みながら言った。
安「空色、お好きなんでしょう？うちにちょうどあったので、使ってみました」
そう言って、笑った彼から、私は視線が外せなかった。
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妃沙(プロフ) - 明里香さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2018年6月2日 20時) (
レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 安室sideに誤字がありました。「毒の車」ではなく、「僕の車」です。 (2018年6月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！更新頑張ります！！ (2018年5月27日 8時) (レス) id: 35e497a401 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 凄く面白いです！！、更新頑張ってください！応援しています！！！ (2018年5月26日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年5月18日 8時
