閑話:side安室−2 ページ18
彼女が言っているのは、あくまで空の話。自分のことを言っているわけではない。
そのことに、安心したような、がっかりしたような、よくわからない感情が胸中で渦巻くけれど、気づかないふりをする。
安「あ、ああ……、空の話ですね……」
なんだか邪な気持ちを持ってしまったような気がして、言葉がどもってしまう。しかし、彼女は僕を見つめながら、首をこてんと可愛らしく傾げてさらに爆弾を投下した。
『？安室さんの瞳の色の話でもありますけど……』
そんな仕草をしながらそんなことを言われたら、勘違いしそうになる。いや、何を勘違いするんだ。どう見てもこの子は年下だぞ！？
それに、偽りの自分しか知らない彼女に、何を同情しようとしているんだ。
冷静になれ、と自身に言い聞かせるもそんなことができるはずもなく、なんとか言葉を紡ぎ出した。
安「……お願いですから、それ以上男を煽るようなことは言わないでください……」
『？』
何を言われているのかわからないのか、相変わらず彼女は首を傾げる。
……だめだ、ため息が出てきた。
なんだかこのままでは自分が負かされたような気持ちになってきた。だから、ちょっとしたからかいだったのだ。
安「……Aさんの瞳も、綺麗ですよね」
『え？」
安「瞳、金茶っぽい色ですよね。綺麗ですよ」
多大にからかいを含んだその言葉に、予想通りに彼女は恥ずかしそうに頬を赤くする。
そのことに少し満足する自分が子供っぽいなんて決して認めない、ああ。認めないとも！
しかし、これで少しは警戒心を持ってくれるのではないだろうか。一応、男といるわけだし、あまりにもリラックスされてもなんだか虚しくなる。
が。
己の反撃が、倍になって帰ってきた。
『な、なんか、恥ずかしいですね……でも、ありがとうございます』
頬を赤く染めながら、はにかむ笑顔を向けられつつそんなことを言われたら、どう反応すればいいのかわからなくなる。
突然の彼女の無意識の反撃に思考が停止して、その瞬間に、力加減を失い、手当てしている手の力を強めてしまう。
『……っ、いたっ！？』
その声にはっとして慌てて謝罪をする。
安「あっ、すみません！」
『あ、いえ、大丈夫です』
そんなことを言って、彼女は僕を見ながら首をかしげる。
……だめだ、見つめられていることに、急に恥ずかしさを覚えてきた。
この子はただの女の子で、深く関わってはいけないとわかっているのに。
その感情を、抑えられないかもしれない。
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妃沙(プロフ) - 明里香さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2018年6月2日 20時) (
レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 安室sideに誤字がありました。「毒の車」ではなく、「僕の車」です。 (2018年6月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！更新頑張ります！！ (2018年5月27日 8時) (レス) id: 35e497a401 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 凄く面白いです！！、更新頑張ってください！応援しています！！！ (2018年5月26日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年5月18日 8時
