検索窓
今日:8 hit、昨日:13 hit、合計:391,220 hit

渦中の人との出会い 。 ページ24

___________
_________
_______
_____
___
_


幸い、一度も返り血を浴びずに仕事を終える事が出来たので、街中へ降りてきても不審な目で見られる事は無かった。
多少汚れは目立つが、Aの歳的に何処かで遊んできたのだろう、と街の人間は勝手に思い込んでくれるだろう。

仕事に行く際に、中原から何かあった時の為に渡されていた数千円を握りしめ、初めて来る街中に心踊らされていた。


『わぁお……何だか別世界みたい、』


経済格差にも程があるだろう、今まで自分が居た所とは。
やや強めの陽射しに目を細め乍ら、本屋を探す。太宰から云われた書店の名前を頭の中で反芻しながら、歩いていると誰かとぶつかってしまった。

Aは悪くない。相手からぶつかってきたのだ。なら謝罪を云うのは、相手の方だろう、とAはぶつかった相手の顔を見上げ_____そして目を見開いた。


「ーーー島崎?」

『織田作さん?』


赤髪に太宰とは違い男らしい顔。織田であった。


「何しているんだ?こんな所で。」

『…太宰さんに頼まれて、完全自 殺読本とか云う最高に頭の狂った稀覯本を買ってくるように、と。

織田作さんは何やってるの?』

「嗚呼……俺は、」


珍しく、織田が言葉を濁した。何か云えないような任務の最中なのだろうか。否しかし、彼はそんな重要な任務を任せられる程、地位の高い人間では無かった筈。

怪訝そうに小首を傾げると、織田はふっと笑みを浮かべてAのはめられている手袋に目を向けた。


「ーーーお前の願う道は叶えられそうか?」

『は、?_____まぁ、わかんないけど。』

「服が異能の所為で汚れていない、と云う事は異能を使わなかった、と云う事だな。

一寸は変えられたのか。」


それは違う。最後に異能を使ってしまった。自分の身を守る為に。


そう云おうとして、其処でハッと気付く。“しまった”などと、何故異能を使う事を無意識に裂けてしまっているのだろうか。

それは矢張り、Aの願いを代弁しているかのようで。

織田はそんなAを見て、頭に手を乗せ撫でた。


「確かに太宰は、死を望む、俺からは手の届かぬ存在に居て、周りからは異端者呼ばわりされている。それでも、何処かお前と似通った点がある。

ーーー太宰が云うなら、大丈夫だ。」

『驚く程に信憑性のない言葉ですね。』


今日は、沢山頭を撫でられる日だ。

頭に手を置きながら、じゃあな、と去っていく織田の背中を見つめた。





.

『』→←職権乱用反対です 。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (738 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2069人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 太宰治 , 中原中也   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

y(プロフ) - まだ、見てます。こんなに端麗な日本語で綴られた物語を書ける方、中々いないです。最高の作品です。どうか、いつか続きが読めることを願っています (2月26日 19時) (レス) @page38 id: 02477a501f (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - 何周も見てるけどやっぱ飽きないし面白いです!!更新待ってます!!!!!() (2022年11月15日 14時) (レス) id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
おみず - お、おわり……??続きがまた見たいです……この先でも活躍するんだろう夢主ちゃん見たいです……!!! (2022年11月10日 23時) (レス) @page38 id: 0c3a3b3097 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫ニサナ - 更新待ってます!! (2022年3月14日 22時) (レス) @page38 id: 1c42f0d3fc (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - え、待ってめっちゃ好き。続き気になる…!更新待ってます、頑張ってください!! (2022年2月1日 17時) (レス) @page38 id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:雪原 ゆずき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php  
作成日時:2016年8月4日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。