3 ページ3
「……侑?」
「お、出た出た。もう寝とるかなって思っとったんやけど」
「眠たかったけど、侑からの連絡、待ってた。寂しかった」
「はー……そういうの狡いって、何回言うたら分かってくれるん!?」
「別に狡くないでしょ……。まあいいや、お疲れ様」
私は基本睡眠はしっかりとるので、この時間帯だとかなり眠たい。でも、侑からの連絡はまだかなとそわそわとしていたら起きていられた。
「おん。悪いな、忙しくて風呂から上がってからしか連絡できひんかった」
「わー……。すごいスケジュール管理されてる……」
「その分、やっぱり練習はおもろいわ。ポジションシャッフルしたり、そもそもメンバーが違うと全く感触が違ってくるしな」
「ふふ、楽しそうでよかった。侑ならどのポジションでも器用にこなしそう」
「当たり前や。だって俺やからな!」
これが虚勢や嫌味なんかじゃなくて事実だから、彼は高校No.1セッターだなんて異名が付いたのだろう。
「そうそう、一人面白い子見つけてな。お利口さんって感じの」
「ってことは後輩か……。なに、おぼっちゃまなの?」
「いんや? 目つき悪いし、頭も悪いし、コミュニケーションに極度に不器用なタイプやろ、ありゃ」
「じゃあ、お利口さんってどういう意味?」
「ん? そのままの意味」
完全に面白がっている口調。まだ見ぬそのお馬鹿後輩くんが可哀そうになってきた。
「なにかわかんないけど、あんまりいじめちゃだめだよ」
「人聞き悪いなぁ、いじめてなんかへんわ」
「嘘だ、なんか企んでる声してるもん、侑」
「ふふ、それは秘密やで? ……あー、消灯や。切るな」
「お休み。明日も頑張って、連絡待ってるから」
「お休み」
まだ一日しか離れていないというのに、思っていたよりも私は侑が好きらしい。
「……好きだよ、侑」
「えっちょ、Aもういっか……」
「そ、それだけだから!」
……こうやって、らしくないことを言って慌てて通話をきるくらいには。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:有津 | 作成日時:2018年2月2日 16時