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「……侑?」

「お、出た出た。もう寝とるかなって思っとったんやけど」

「眠たかったけど、侑からの連絡、待ってた。寂しかった」

「はー……そういうの狡いって、何回言うたら分かってくれるん!?」

「別に狡くないでしょ……。まあいいや、お疲れ様」



私は基本睡眠はしっかりとるので、この時間帯だとかなり眠たい。でも、侑からの連絡はまだかなとそわそわとしていたら起きていられた。



「おん。悪いな、忙しくて風呂から上がってからしか連絡できひんかった」

「わー……。すごいスケジュール管理されてる……」

「その分、やっぱり練習はおもろいわ。ポジションシャッフルしたり、そもそもメンバーが違うと全く感触が違ってくるしな」

「ふふ、楽しそうでよかった。侑ならどのポジションでも器用にこなしそう」

「当たり前や。だって俺やからな!」



これが虚勢や嫌味なんかじゃなくて事実だから、彼は高校No.1セッターだなんて異名が付いたのだろう。



「そうそう、一人面白い子見つけてな。お利口さんって感じの」

「ってことは後輩か……。なに、おぼっちゃまなの?」

「いんや? 目つき悪いし、頭も悪いし、コミュニケーションに極度に不器用なタイプやろ、ありゃ」

「じゃあ、お利口さんってどういう意味?」

「ん? そのままの意味」



完全に面白がっている口調。まだ見ぬそのお馬鹿後輩くんが可哀そうになってきた。



「なにかわかんないけど、あんまりいじめちゃだめだよ」

「人聞き悪いなぁ、いじめてなんかへんわ」

「嘘だ、なんか企んでる声してるもん、侑」

「ふふ、それは秘密やで? ……あー、消灯や。切るな」

「お休み。明日も頑張って、連絡待ってるから」

「お休み」



まだ一日しか離れていないというのに、思っていたよりも私は侑が好きらしい。



「……好きだよ、侑」

「えっちょ、Aもういっか……」

「そ、それだけだから!」



……こうやって、らしくないことを言って慌てて通話をきるくらいには。

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作者名:有津 | 作成日時:2018年2月2日 16時

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