あのときと ページ10
*
私とジュンくんって生活空間が一緒なのかも 。
あの公園の近所に住んでるって 、前にスニョンくんが言ってたから私の家とそこまで遠くない … はず 。
一番最初に見かけたのもここだったし … 知らないだけでいろんなところで今まで会ってたのかな 。
そんなことを思いながら歩き出そうとすると 、後ろから誰かが私を追い越す 。
「 えっ！？ 」
思わず声を出しちゃったら
「 …… あれ？Aちゃん？ 」
振り返ったのは … そう 、ジュンくん 。
「 えっ？ … 何で？さっき上がって … 」
言いかけて口を閉じる 。
これじゃあ 、ずっと見てたみたいだよ 。
… 実際そうなんだけど 。
でもジュンくんは気にならなかったみたいで 、すぐに笑顔で向こうを指差しながら答える 。
「 上がってたんだけど 、クレープ食べたくなったから下りてきた！ほら 、クレープの日みたいだし！ 」
「 … あ 、私も … 」
食べたいって思ってた 、小声でそう続けると一緒に行こうよって誘ってくれた 。
それに頷くと 、少し後ろを歩きながら小さく鳴る胸を押さえ考えてみる 。
… 私 、ジュンくんと初めて会ったときから今までずっとドキドキするし緊張してる 。
でも 、ウォヌさんと一緒にいるときのドキドキとは種類が違うってことに気づいた 。
うまく言えないけど 、ジュンくんは … 王子様で憧れの人と話しているような感覚 。
ウォヌさんは … 王子様とは違うけど一緒にいると落ち着くし心地いい感覚 。
10分ぐらい列に並んで 、お目当てのクレープを買うと近くのベンチに二人して座る 。
あ 、ここ … ジュンくんと初めて会った場所 。
クリームついてるって 、とんとん自分の綺麗な鼻に手をやって教えてくれた 。
あのときのこと思い出しながら 、こっそり見つめた横顔 。
「 … ぎゃく 、だ 。」
「 ん？ 」
「 あっ … えっと 、ここ 。クリームついてる … ジュンくん 。」
逆なの 、あのときと 。
今日はジュンくんの鼻にクリームついてる 。
「 ホントだ 、ありがとう 。」
照れくさそうに鼻を触るのを見て 、自然と頬っぺたが緩んだ 。
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作者名：華子
| 作成日時：2017年10月7日 21時
