可愛かったら ページ25
*
家に帰ってすぐにベッドへ体を倒すと 、自然と涙がするする流れてくる 。
私の手を掴んで引き止めようとしたウォヌさんに 、ひとりにしてほしいって言ってそのまま帰ってきた 。
どうしよう 。
…… 私 、どうすればいい？
告白なんてしたことない 、まして今のこんな状況 。
好きだなんて言えっこないよ 。
携帯につけたうさぎのキーホルダーを 、手に取ってじっと見つめる 。
…… 私に似てるって言ってくれた 。
このうさぎ 、キティーちゃんみたいに口がないの 。
目と鼻だけ 。
だから表情が決まってなくて 、この前見たときは笑ってるように見えたのに … 今日は泣いてるね 。
落ちた涙がそこに滲んでいく 。
今まで 、ウォヌさんの優しい瞳 、表情 、仕草 、言葉の全部が私に好きって伝えてくれてるみたいで … すぐに答えられなくてごめんねって気持ちもあったけどすごく嬉しかった 。
… でも 、それがナヒちゃんのものになっちゃうかもしれないの？
付き合ったって聞かされたワケじゃない 、ナヒちゃんのことが好きだって直接言われたワケじゃない
ただウォヌさんが昨日のことを言わないだけで 、そんな考えがぐるぐる頭を回ってる 。
もともと自分に自信がないから 、すぐマイナスな方向に考えちゃう 。
そもそもウォヌさんがどうして私なんかを好きになってくれたのかも 、ずーっと分かってない 。
… こんな私のどこがいいのかな 。
ナヒちゃんみたいに可愛かったら良かった 。
ピンクのニットカーディガンだって 、迷いもなく買えるような女の子だったら良かった 。
そうすればこんなに 、うじうじ悩むことだってきっとなかったの 。
コンプレックスで悩むこと今まで何回もあったけど 、こんなに '' 可愛かったら良かった '' って思ったのは初めてだよ 。
うさぎのキーホルダーに頬っぺたを寄せて 、ゆっくりと濡れたままの目を閉じた 。
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作者名：華子
| 作成日時：2017年10月7日 21時
