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お人形さん ページ1

*



学祭の余韻は次の日にはもうすっかり跡形もなく 、いつものゆったりした時間が流れる学内 。

今日は久しぶりにひとりのお昼 。


…… ウォヌさんはお休み 。

体調悪いんだって 。

学祭で風邪うつされちゃったのかも 。


だから端っこでお決まりの定食を黙々食べてたら 、真正面に座ってきた女の子三人組 。

緊張しながらそのまま食べる手を動かしてると

「 ねえ 。」

その中のひとりに話しかけられた 。

突然でびっくりしつつ顔を上げれば 、女の子たちの視線が私に集中してて思わず逃げるように俯く 。

「 ウォヌくんは? 」

… やっぱり私に話しかける理由はウォヌさん 。


「 あ 、えっと … 今日は 、お休みで … 」

「 ふーん 。」

いつもは美味しい唐揚げの味が全く感じられない 。


「 ウォヌくんいないとホントにひとりなんだね 。」

… ひとり 。

そのとおりだよ 、私はウォヌさんがいないとひとりぼっち 。


「 私もさ〜ぼっちだったらウォヌくんに相手してもらえるかな〜? 」

「 ウォヌくんが一緒にいてくれるなら今すぐあんたたちと絶交してひとりになるわ 。」

「 うっわ 、聞いた?サイテー 。」


楽しそうに笑う女の子たちに何も言えなくて 、ただぎゅっと唇を噛みしめる 。

「 ちょっといいかな 。」

ふいに頭上から降りかかってきた声 。

泣きそうな気持ちで顔を上げたら 、お人形さんみたいな女の子 。

ニキビなんて無縁な真っ白な肌 、色素の薄いふわふわした髪 、ぱっちり二重の瞳 。

長いまつげ 、高い鼻 、ピンクの唇 。


… この子知ってる 。

入学式のときにかわいいって話題になってた 。

「 ナヒじゃん 。なに? 」

そうだ 、ソンナヒちゃん 。


聞かれてポーチから鏡を取り出すと 、ナヒちゃんは女の子たちに向ける 。

「 今の嫌味言ってるあんたたちの顔醜いよ?そんなのチョンウォヌに限らず誰も相手にしないと思うんだけどなあ 。」

そう言ってにこっと微笑むナヒちゃんに 、女の子たちは不機嫌そうな顔を浮かべると行こ行こってその場を去ってった 。

びっくりした 、けど … 助けてくれたのかな 。


「 あの 、」

お礼を言おうとしたら 、すでに遠くなってた背中 。

… ありがとう 、言いそびれちゃったな 。



*

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作者名:華子 | 作成日時:2017年10月7日 21時

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