君だから

今日もあしたも2 ページ9

「何ニヤニヤしてんの、キモいんだけど」

言われてハッと現実へ戻る。

思い出に浸ってたのに。

生意気な後輩は生意気なまま。



「…照は、変わらないな…」

「は？」

「高校から全っ然変わらない！成長なし！」


「はぁ？」


「そういうふっかだって」



突然の批判に抗議をはじめる照に不意打ちでキスをする。

ビックリした顔、


たまにはね。

「かわいい後輩のまんまだってこと」


立ち上がって伸びをする。

「花見でもいく？」


振り向いた瞬間、後ろからハグ。

「誘ったでしょ」


耳元から滑るように唇が近付いてくる。

慌てて両手で照の口元を覆ってガードする。

「誘ってねーよ！桜！見に行こうぜ、すぐ散っちゃうから」


俺の両手で覆った口元は、多分今への字だな。






「…わかった。花見行こ」


おぉ、今日は諦めが良い。


ホッとして手を緩めた瞬間、唇に噛みついてきた。

「んんん！」

照の舌が強引に俺の舌を絡める。


「はぁ…！」


「やめろって！これはダメ！いま昼前！今は桜！」


これ以上されたら俺がヤバい。


思い切り抵抗すると、諦めたような表情で

「わぁーかったよ。花見ね。散歩ね。」

ようやく緩んだ腕をすり抜ける。

「夜桜もいいけど、こんな青空の下の花見は久しぶりじゃん？康二も誘う？あいつ、今日時間あるかな？」


携帯を出して連絡先を開く。


「…2人でいいじゃん」

「いや、喜ぶよ、あいつ、免許あるし。車出してもらおう！足伸ばそうぜ！」


「ふっか、どーせ寝るんじゃん」


「俺は助手席じゃ寝ないし！」


よくゆーわ、と呟いて、ようやくふふふと笑った。


高校の頃から変わらない、優しい目元。


ずっと変わらないものもある。

周りがどれだけ変わっても、俺だけが知っている。

携帯が鳴る。


「あ、康二来てくれるって」


「暇かよ」


ふふ、と笑う。


「康二の運転、東京いけんのかな」



「結構運転してるみたいよ？来年は、照の運転で桜見に行こうよ、康二とか、皆誘って」


来年はふたりがいい。と呟くから、やさしく頬にキスをする。





甘えたな一面も、あの頃のまま。



ずっと同じじゃいられないけど。

来年も桜を見て、昔を思い出すような。

平和で同じような日常が来たらいい。

俺のとなりに照がいたらいい。

Extra mmkj version→←今日もあしたも

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す