君だから

春の日の3 ページ6

ブーッと携帯が鳴ったのに気がつき目が覚めた。

阿部ちゃん…

【今日は高気圧に覆われ晴れ、気温は18℃、日中は暖かいけど朝は５℃と冷え込むから上着必須。】

「ふふ…」

阿部っぽい。

なんとなくスッキリした。
薬、効いたかな。




お気に入りのGジャンで現場へ。

「おはようございまーす」

「ふっか、体調どう？」
舘が気にかけてくれる。

「全然！大丈夫！」

「ふっか、上着着てきたね、俺の目覚まし兼ふっか用天気予報いいでしょ」

「あれ、サイコー。明日もよろしく！」

「やだよ」

「おはようございますー」

朝からジムに行ってた照が入ってきた。


「お、ふっか、顔色いいじゃん。薬効いたね」

ニコニコと肩を組む。
何だか照れくさく、目線をはずす。

「薬嫌いなのに、ちゃんと飲んだの、やっぱ照の言うことは聞くんだ〜」

阿部が意味ありげにニヤつきながら言う。

「そーゆーこと！」
阿部の言葉に照はどや顔。



「あれ１度やってみたかったんだよね」
照が耳元で囁く。

「元気になってよかった、でも無理すんなよ、薬持ってきたから、昼食べたらまた、飲んで。」

薬、のワードに何故か反応してしまい、照と目が合う。一瞬、朝方の、照の唇の感触がフラッシュバックする。

優しく、真っ直ぐ俺の目をのぞきこんで。

「ん？」

と、首を傾ける照…

案外、天然なんだよなぁ…
なんか、心なしか頭がクラクラしてきた…

「ふっか、顔赤くない？やっぱ熱じゃない？」

照がおでこを当ててくる。

「熱い！ふっか、熱い！」

慌てる照をどかして阿部が俺の額を触る。

「あついね、ふっか、熱じゃない？」

「ええ！うつるだろ！帰れ！」

翔太の冷たい声が響く…

「今すぐ連れて帰るわ！」と、おろおろする照に、帰る方が体に障るからちょっと待ってて、と、冷静にスタッフさんを呼びにいく阿部、帰れコールしてくる翔太、を、なだめる舘、とりあえずソファで寝てください！って騒ぐ康二、何故かお菓子を差し出すラウール…、状況を飲み込めない目黒…


せめて佐久間がくるまえで良かった…



この熱は体調不良じゃないよ、って。
言えないからとりあえず横になろう。

ふぅ。とため息をつく。
横になると体の力が抜けて、眠気がやってきた。

俺は、風邪、引いたらダメだ…

それぞれが、それぞれに騒ぐ姿が霞む。

案外、俺はメンバーのメンタルにも影響力があるんだな…

おちおち病気してらんねぇ…


健康を誓った春の日だった。

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