君だから

君に敵わない ページ40

「どこ行くの？」

呼び止められて、

「康二と…」

今日は照に筋トレ教えてもらうって約束。


「や、ご飯、じゃなくて、その」

「忘れてたろ」

「覚えてた！違う！康二が急に」

「ちゃいますやん、ふっかさんが行こうって」

康二！合わせろよ！

「ふっか」


「ごめん！明日は必ず！」


「…もういいよ、やる気ないだろ」


正直。

はじめはやる気だったけど、全然筋肉つかないし、結構つらいし、体固いまんまだし。

「あるけど、もうちょい優しいやつがいい…」



「照くんがせっかく筋トレ見てくれるんやから、継続は力なりやで、じゃ！」

照の圧力か、忠誠心か。

取り残される俺。

を、睨む照。

目が見られない…


「どーすんの、俺はやめてもいいよ」

「だからやるって」

「やるならちゃんとやってよ？」

「わかってますー」





「じゃあ少しやさしめのにするから、腹筋だけね、継続させられないのは、トレーニングがふっかに合ってないってことで、俺にも責任があるし」


「だろ？照のせい！」

指差して抗議したら、また睨まれた。





「3、2、1、終わり」

「…」

「短いからあっという間だったでしょ」

「…」


キツすぎて声もでない。

マンツーマンはサボれないからやっぱやだ。

起き上がりたいけど体が動かない。


「ひかる…」

「ん？」

「…マジでキライ」


「かなり効いたでしょ。筋肉痛くるけど、筋肉痛でもやるよ」


「はぁ？」


「継続は力なりでしょ」


「…わかったよ…」


「続ければ必ずある日あれっ？つらくないぞって、日が来るよ」

「どのくらい？」

「ひと月」

ムリ。31日間は無理

「マジで嫌ならやめるよ？筋肉つけたいっていうから考えたんだけど…」

おい。そういう寂しそうな目をするな。
俺はその目に弱いんだよ。

「100%嫌な訳じゃない」

「何％？」

「…25%」

「じゃ。四捨五入でゼロだ！」

なわけねー。

不意に照の手のひらがお腹に這う。

「この辺に筋肉作ってあげるから」


照の指先が脇腹近くに円を書くように動く。

「へ、変な触り方すんな！」

疲れて抵抗できない。



同じところに今度は照の唇が当たる。

「…っや」

軽く噛んだような刺激に思わず声が出る。

「まだフニフニ」

俺のお腹を甘噛みすんな…

「そのうち照の歯が折れるくらいにカッチカチにしてやる…」

意味不明な宣戦布告。

照は優しく笑って、楽しみにしとくって。

信じてないな。


…俺もだけど。

やっぱ無理。

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