君だから

君の好きなとこ iw eyes ページ36

風呂から上がるとローテーブルに突っ伏して小さな寝息を立てているふっか。

明日はオフだから、一緒に映画を観ようって何本も借りてきたけど。

「寝ちゃったか…」

洗いざらしの髪はまだ少し濡れていて、食べかけのアイスが溶けかかっていた。

「食べてる最中に寝るとか、子供か…」

ふっと思わず笑ってしまう。

どうしよう。このまま寝かせる？
起こせよー！って怒るかな。

どちらにしろ、この体勢じゃな。

「寝るならベッド行くよ」

脇に手をいれて抱き上げる。

「んん…」

うっすら目を開けた。

「映画また今度にする？今日は寝とく？」

ぼーっとして定まらない視点で、んー、とどちらとも取れない返事をする。

こりゃ寝るかな。
そう思ったら。

首に両手を回してキスをされた。

「…」

チュッというライトな音が響いて。

「ひかる、ごめん、眠い…」

って。俺の首にぶら下がる。



上目遣いで目があって。

「えいが、あした観よ…」

なんて少し舌足らずな声。

完全に誘ってるだろ。

細い腰を掴んで抱き上げてベッドへ直行して。

「眠い？」

「…なんか、少し、目ぇ覚めたかも」

さっきより少し甘ったるい声色に聞こえるのは気のせいじゃない。

「良かった。寝かせたくない気分になっちゃったから」

どちらからともないキスをする。

口を開かせて、上顎を舐めて、舌に吸い付く。

「んぁ…、はぁ…」
苦しそうに逃れようとするけど、逃がさない。ふっかの息さえ吸いとるようにキスをする。
細くてキレイな指先が俺の首筋をなぞる。

その指先が、背中を這って、爪を立てる瞬間が堪らなく好き。

いつも謝るけど、謝んなくていいよ、もっと、ふっかの跡をつけて欲しいよ。






「映画、観れなかった…」

「今から観よ？」

「朝じゃん、夜観たい派なんだけど」

ブブっと携帯が鳴る。

「あ、佐久間」


【プール行こうぜ！】


「お！プール！行きたい！」

分かりやすくテンションの上がるふっか。



「…ラッシュガード、あったかな」

「ラッシュガード？なんで…」

言ってからハッとして。
少し赤くなるの、マジでかわいいし。

「…ごめん」

また謝った。

「やっぱ映画にする」

猫背で返信する後姿を抱き締める。

「プールは今度な」耳元でささやく。

「…プール行けるまで、しない」

「は？」

「絶対しない！」

恥ずかしさとプール行きたさでまた極端なこと、言い出した。


そこも、まとめてかわいいんだけど。
まぁ、するけどね？

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