君だから

キスのあとは ページ12

「うん、オッケー、おやすみ〜」


電話を切るなり振り向いて、腰にしがみついてる照の頭をはたく。

「いってぇ」

「電話してるときは静かにって」

「どーせ相手、康二だろ？だいたい長過ぎ」

「用事だからって、おい！話聞いてる？」

俺のTシャツをめくって背中にキスをする。

「待っ…」

「じゅうぶん待った」

振り向かせ様に今度は唇に噛みつくようなキス。

そのままソファに押し倒される。


「今日、優しくしなくていい？」


整った目鼻立ちと真剣な眼差しが俺を捕らえて。

俺が、照にこんな表情させてるんだ、と思うと、優越感にも似た感情と、男としての征服欲がごっちゃになって、全部あげたいし、全部欲しい気持ちになる。


返事をする前に照が俺の首筋に吸い付きながら、大きな手のひらが身体中を優しく滑る。

「ん、ひかっ…」

抑えられない声が漏れる…


「ふっか、好きだよ…」


優しい声に目を瞑る。

優しくしなくていい？なんて、聞いといて。
優しくしかできないじゃん…

そんなこと思いながら、温かくて少し強引な、その手に身を任せて。


………






目を覚ますと腰が痛い。

やべえ。この感じ、今日は終わったな…


でも仕事ある。起きなきゃ…



起き上がろうとするけど、腰が言うことをきかない。

隣で照が目を覚ます。


「おはよ」


頬を引き寄せて、おでこにキス。

ナチュラル過ぎて逆に恥ずかしい…

「腰大丈夫？」


「ぜんっぜん大丈夫じゃない！約束違うし！」

仕事の前日は我慢って約束。

「だって、誘うから」

「誘ってない！」

「目の前で康二と長電話して、煽ったじゃん、ふっかが悪い」


長い腕をまた俺の腰に優しく巻き付ける。

「でもちょっとしつこかったかも。ごめん」

「…ちょっとじゃなかった…」

「今後から一回にします」

「0にして」

「それはムリ！」

「腰、死ぬからな」

「それは困る！」


うーん、と悩んで、ホントは毎日シタいけど。
と独り言みたいに呟いて。

「二回に一回にします」


「マジで俺の話聞いてる？」

「うん！」

元気に返事をして、チュッとキス。


聞いてないな…



腰に回した手がゆっくり動く。

バシッ！と叩いて起き上がる。

「いってぇー」

「あ、動けた…」

「お！一回できそう？」



「出来ねぇよ！」

捕まったらたまんない。
ベッドから這い出る。

ふふふと笑う照につられて笑ってしまう。

結局照に甘い俺がいけない…ってオチ…

甘やかしすぎたか。

手遅れだけどね。

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