君だから

Extra mmkj version2 ページ11

広いレッスン場にふたり。


のつもりが。


なぜか岩本くんがいる。

「なに？目黒」


「いや、なんも…」


「康二、いまんとこ、もっかい」

「目黒、ラウール役ね」


淡々と繰り返す。



「うん、いんじゃない？」


「じゃあおれ、そろそろ帰るから、お疲れ」


鬼の特訓が終わり。

「あざっした！」



扉が閉まった瞬間倒れる康二。


「大丈夫？」



「振りは大丈夫や…完璧や…」


はぁっはぁ、と、まだ肩で息をしてる。


「なんか飲む？」


「飲む…、エナジードリンク以外」


上半身を起こして座る。


前髪から汗が滴る。

ふー、っと大きな息をして。


「俺はまだまだやなー…」

って呟く。

「努力は誰にも負けてないじゃん」

「当たり前や、努力ちゃうねん…照くんにも迷惑かけて、最悪や…」


下を向いてしまう。


こういうとき、うまいこと言えないんだ俺は。
無責任に大丈夫も言えないんだ。


ただ康二の隣で。


「俺は嬉しいけど」



康二がこちらを見る。

「なにがよ？」


「実はメッチャ真面目じゃん？すごい気ぃ使いな面も、周りを気にかけて場を和ましてくれんのも、実はめちゃくちゃ負けず嫌いなとこも、いろんな康二、知れて嬉しい。」



「な、なんや、照れるけど。めめも、ありがとうな、付き合ってくれて。明日オフやから予定あったんちゃう？」



照れて笑う康二が愛しすぎて、見つめてたら目が合う。


ここは。キスする流れだよな？

康二に近づく。

キョトンとしてる。

「めめ？」


一気に押し倒そうか。理性がギリギリ。


バタン！！


「お疲れーーー！あれ？照は？」



マジか…

「あ、ふっかさん！なんすか？照くんならさっき…」


「え？マジ？まだ練習してるっていうから差し入れ！」


「ありがとうございます！やさしー！」



そうか…

この展開か…


消えそうになる意識を何とか戻す。


「目黒？」





「…」

大丈夫。
ふっかさんは悪くない。

「うまい！このお菓子うまい！さすが東京！」




康二が楽しそうだから、まぁいっか。


俺も、康二が喜ぶ東京のお菓子、探すか。


「目黒」

ふっかさんが俺に耳打ちする。

「なんか、まずかった？」


「いや。全然…」

「そう？なんか神妙な雰囲気だったから、タイミング、間違えたのかなって…」



バタン！！




「何してんの、目黒」

ふっかさんと０距離になると現れる岩本くん
最強。

GPSで管理してないよね…？

俺はタイミング、勉強しなきゃな。

キスのあとは→←Extra mmkj version

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す