キミくんとシンゴさん (ページ15)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:18,259 hit

・ページ15

｢･･･帰らなあかんで｣

キミくんに告げると、少しだけ哀しそうにして、でも少しだけホッとしたように見えた。

キミくんを元の世界に戻そう。
そうせな、オレとヨコは出会わんくなって、『今』が変わってしまうかもしれん。

オレとヨコの歴史が、なかったことになるかもしれん･･･

･･･ヨコを失いたくないねん。

｢でも･･･｣

｢･･･うん｣

その方法は･･･さっきキミくんの言うた『キミくんの思いを叶える』ことなんかな？

やとしたら･･･

｢おれ･･･シンゴさんのこともっと知りたい･･･｣

それしか･･･ないんかな。馬鹿げた理論なのは重々わかってるけど･･･今はそれに縋ってみるしか術がない。

｢･･･試してみよ｣

あかんならあかんでしゃあない。
やってみな、始まらへんわ。

オレは立ち上がって、寝室へ向かう。
寝室の入口でキミくんを振り返った。

｢･･･おいで｣

オレを見つめるキミくんの頬が、朱に染まった。