人生ゲーム Level.3

118 = My room ページ26

｢ヨンベ君だったの？｣
YB｢うん。俺だった。｣



やっと見れた。

ふにゃんと目尻が垂れる、彼の笑顔。



さっきまでのヨンベ君は、昨日のヨンベ君で。

立たされたのは、私には恐怖を感じる場所。

だけどやっぱり、ヨンベ君はヨンベ君で。

腕を引く彼の力は、優しかったんだ。




｢全然気付かなかった...。｣
YB｢住所も名前も店だったからね？｣


そう。

住所はここから近くで、名前は確か..."Silver Smith SOL"。



YB｢俺がシルバーアクセサリーの職人だって、知らなかった？｣
｢...聞いたことある...かも...。｣


直接じゃない。

誰かに話してるのを聞いた程度。

それに名前にSilverが付いてるからって、ヨンベ君だとは思わないよ。

悩ましい"お任せ注文"のお客さんが、まさか一緒に暮らしてる彼だったなんて...。




YB｢この白い石、えっとメタ...なんだっけ？｣
｢メタモルフォーゼス。｣
YB｢そう、それ。｣



掌に乗せたブレスレットの、乳白色の石を指差したヨンベ君。

ツンっとその石をつついて、｢Aがコレだと思う石。｣って。


YB｢もちろん、どんな意味でどんな効果か知ってるでしょ？｣
｢...。｣


うん。知ってる。

ちゃんと調べ直して驚いたから。

その意味もその効果も、しっかり頭に入ってる。



YB｢"変容 変革の象徴"。えーっと、"決断力を支え人生や環境などにスムーズな変革を促す"...だっけ？｣
｢覚えたの？｣



下唇を噛むのは、彼の癖。

｢昨日ね？｣って微笑む笑顔に胸が焦げて、無性に泣きたくなった。



YB｢変化に対して不安な気持ちも、明るい未来への希望に変えてくれるんだよ？って、Aは知ってるかｗ。｣


知ってるよ...。

それも知ってる...。



変わる事を恐れて、ネガティブになってしまう思想を...。

メタモルフォーゼスは、良い方向へと導いてくれる効果があるの。



YB｢Aが選んだ石だよ？A自身が、自分で選んだ石。｣
｢...。｣
YB｢ほんとは、変わりたいと思ってるんでしょ？｣
｢...。｣
YB｢怖いだけで、ここから出たいと思ってるんだよね？｣
｢...。｣



透視されたみたいに、心の奥底の深い部分を見抜かれたのに。

私はまだ、素直に頷くことを拒む。



YB｢Aが辛かった時に、俺は傍に居なかったけど。今は一緒に居るじゃん。｣
｢...うぇ...うぅ...。｣



でも彼は、ブレスレッドごとしっかり両手を握ってくれて。

目線を合わるように覗き込むヨンベ君は、私が好きなヨンベ君。

119 = Jiyong's room→←117 = Yongbae's room

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す