人生ゲーム Level.3

115 = My room ページ23

黒い木の扉が開いて。

帽子も被らず前髪を下ろした、ナチュラルヘアのヨンベ君。

顔色が悪いし、鼻声だ。




私とジヨンを見つけると、また怪訝そうな顔。

こっちには来ずに、カウンターに座った。



JY｢ヨンベ、こっちこねーの？｣
YB｢うん。風邪引いてるから。うつっちゃ悪いじゃん？｣
JY｢マジか。ちゃんと寝ろよ？｣
YB｢おう、サンキュー。｣



そう言うと、背中を向けて。

スンリと何か話しながら、もう振り向く事はなかった。





なんかこれ、逆だよ。


少し前までは、私の前にはヨンベ君で、あの席にはジヨンだったのに。


あの頃と同じなのは、私がカウンター席を気にしてるって所。




3ヶ月前までの私。

ウビンに似てるジヨンに惹かれて、彼を覗き見ていた。



今の私は、あの場所に座るヨンベ君が気になって仕方ない。

風邪引いたの？大丈夫かな？とか。

水曜はヨンベ君休みだよね？ずっと部屋に居るかな？とか。







ドキ...


心臓が大きく跳ねて。



ズキ...


すぐに、悲しくなった。



もう、手遅れなのかな...。





JY｢...A？｣
｢ごめんジヨン。私行くね？｣
JY｢え...？｣



ううん。

まだ、なんとかなるはず。

だってヨンベ君は、まだシェアハウスで暮らしてるもん。



また勇気を出してみる。

関係の修復に、希望はあるよね？




なんでこんなに必死なのか。

どうしてここまで、彼と仲直りしたいのか。

この時の私は、まだ知らなかったけど。




コーヒーカップを持って、ジヨンの前から離れて。

｢ごちそうさまでした。｣とタプに言うと、ヨンベ君の横に立った。




｢ヨンベ君。｣
YB｢...なに？｣


濃い茶色のカウンターばかり見てた彼は、私の呼びかけに反応。

ぷくぷくした手に顎を乗せたまま、視線だけこっちへ。





ズキ...



やっぱり優しくない瞳に、心が折れそうになったけど。

モコモコのルームパンツをギュっと握って...。

いつも通り。リンコちゃんとぼんちゃんみたいに、普通にすれば大丈夫...。




｢風邪、平気？薬はある？｣
YB｢...。｣


ヨンベ君の細い目が、少し見開いて。

小さな声で、｢うん。｣って返事。



昨日の"ごめん"の意味。

どう切り出そうか、1人でモゴモゴしていたら...



YB｢A、いい加減にしなよ？｣
｢...ひゃっ｣



左手首をグっと掴まれ、店の外まで引っ張られた。




そして立たされたのは...。

細長いガラスを嵌め込んだ、黒い木扉の前。

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