大西流星短編集4 (ページ11)

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「もしもし流星」

『大ちゃん！』

「どこおるん？」

『えっと、ここは』

"ここは○○だよ"

「え、勝利？」

『そう、勝利くん！』

電話越しでもわかる流星の嬉しそうな声
流星の会いたかった人って、勝利やったんか……

『もしもし、大ちゃん？』

大好きな流星の声が遠のいていく
知らぬ間に通話は終わっとって、とぼとぼと歩いて、おっきい観覧車が見えるところまで来とった

「俺、恥ず笑」

流星が勝利に抱いとる感情は憧れっていうことはわかっとるのに、俺が入れへんテリトリーがある事実が胸を締め付ける

「もう9時やん、ホテル戻ろ」

立ち上がると皮を挟んで反対側に暗くたって見間違えるはずのない流星の姿があった

きょろきょろしながら誰かを探しよる
勝利とおるんやなかったん？

淡い期待が沸き上がる

「流星！！！」

流星は走っていた足を止めこちらを向くと

『大ちゃん！』

そう言って
川にかけられた小さな橋を指さした

ブンブンと頷いて俺も全速力で駆ける

「はぁ、はぁ、はぁ、流星」

『へへっ、大ちゃん』

「なんで？」

『え、大ちゃんに会いたくなっちゃって』

「俺に？勝利やなくて？」

『え、勝利くん？勝利くんとは偶然会っただけやで』

え？って顔をして不思議そうに俺を見る

「わざわざ俺に会いに来たん？」

『うん！』

なんの疑いも持たず笑顔で頷く流星はあの頃となんも変わらん

『大ちゃん明日休みって言っとったから、どこに行かんでもええから一緒おりたいなって思って』

「ほんま？嬉しい」

『迷惑やない？』

「迷惑なわけないやん！嬉しいで！」

『ふふっ、よかった』

なんで俺の天使はこんなにかわええん？ここが人通りなかったら抱きしめてそれから……