ほら君が笑うと (ページ9)

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他撮りはNG ページ9

『恭平』

「ん？なに？」

最近、流星が"恭平"と呼んでくれるようになった
ふたりきりの時限定やけど

『あんな、この服どう思う？』

そう言って携帯の画面を見せられる

「似合ってるやん！モノトーン好きやな～」

『うん！好き！』

「ん？これ」

『どないしたん？』

「これ誰に撮ってもらったん？」

『え、大ちゃんやで？』

「西畑？」

『うん』

流星は？といった顔で俺を見つめる

『恭平？』

「ふたりで行ったん？」

『そうやけど、あっ、ちゃうで！ほんまは正門くんたちも来る予定やってんけど』

言い訳しても無駄だと思ったんか
流星は俯いて黙ってしまった

別に流星を責めたいとかそうゆうわけやなくて
ただ相手が嫌なだけで

俺よりも流星のことを理解しとって
俺よりもずっと長く流星と一緒におって
そして、西畑も流星のことが好きやから
やからなんやモヤモヤすんねん

ふたりでなんて行かんでなんて言えへん
俺も束縛されるのは嫌やから

それに物理的に無理なことやってある
流星と西畑は同じクラスやし
家も隣同士やし

やけど、この笑顔を
画面の中でキラキラ輝く笑顔が西畑に向けられているものだと思うと苛立ちが募る

『恭平？顔怖いで？』

「あんな、もう撮られんで」

『トル？』

「流星のことを撮っていいんは俺だけにして」

『写真？』

「そう。流星自撮り得意やし他の奴には撮られてほしくない」

『恭平、、、』

「ごめん、嫌やんな」

『ふふっ、嫌やないで？恭平が流星のことめっちゃ好きってことやろ？嫉妬？してくれてんやろ？』

「っ///そんな」

流星はどんなときも真っ直ぐに気持ちを伝えてくれる
俺が恥ずかしくて言えないことも全部

『きょ～ろちゃん』

俺がなんも言わんかったら
甘ったるい声で俺の名前を呼び
ぎゅっと抱きしめられた

『流星を撮っていいんはきょろちゃんだけ、それでええ？』

「うん」

『うんっ！他撮りはNGやんな』

「他撮りはNG？」

『そう！自撮りもっとうまなろ～っと』

ニコニコしながらアプリを起動させた

『はいっ、チーズ』

携帯の画面にはアホ面の俺とウインクをしてバッチリ決めて微笑んでいる流星

こうやって俺のフォルダにも流星のフォルダにも
二人だけの思い出が増えていけばええな

ほら君に出会ってから独占欲が芽生えた
君が一番に笑いかける相手は俺がいい