贈り物 ページ49
「いいからいいから、ここにいて。」
「え？え？？」
目隠しをされ通された場所に、Aの声はどんどん震えていく。
裏切りか？どこで崩れた？そう考えいていると、隣にどさっと何かが立っている気配がする。
この嗅ぎ慣れた化学薬品臭と、布の擦れる靴音は間違いなく、
「千空？」
「その声はAか。」
二人とも声で判断したということは、千空も目隠しをされている可能性が高い。
「現代人二人の雁首揃えてるってことは、ついにてめえらも気が付いたのか。
俺らの首と科学を差し出せば、司帝国との戦いも避けられると。」
ニヤッと笑った声が轟き、Aの心の臓も震える。
「だがな、この女だけは残せ、」
「違う、私を差し出して、今際の際に千空の偽情報を流せる。」
「あ〜〜はいはい、そういうのいいから。」
「「へ？」」
ゲンのわかったわかったと言いたげな声に、二人の間抜けな声。
同時に二人の目隠しがするりと解かれた。
そして目の前にあったのは、
「てん、たい望遠鏡。」
二人は呆然としていた。
Aの脳裏によぎったのは、千空の父百夜だった。
「百夜おじさん。」
崩れ落ちるAに、はははっと乾いた声を漏らした千空、
「最初はAちゃんに誕生日確認しようと思ったんだけどねえ。」
「知る訳ないでしょう？」
「ああ男がいちいち教えるもんじゃねえからな。
つうか、どっから計算を、いや、あの時の誘導尋問か、」
と千空は思い出したように笑い、Aもなるほどねと頷いた。
だが千空は徐にAの方向に振り返った。
「A、受け取れ、」
「え、ええ？」
戸惑いながら受け取ったその包み紙と重さに気がついたAははっと顔を上げた。
慌てて紐をとけば、そこにあったのは綺麗な編み込みと美しいガラス細工が施された簪。
「これは。」
「作業の片手間に作ったやつだ、折角だから受け取れ。因みに簪って言い出だしたのはあいつらだからな。」
ビシッと指さされた先にはニコニコのゲンに、心の底から良いことをしたという顔のルリとコハク。
「Aは前々からその長い髪を鬱陶しがっていたからだな。折角だから髪留めがいいと提案したのだ。」
「ほほほっ楽しいガラス細工じゃったわい！真空管作りに比べたら難易度も鬼簡単じゃったしの！」
ブイと笑った男に、Aはありがとうと付け足した。
千空は改めてAの長い黒髪に目を落とした。
そしてAは逆に連中の間にゲンが紛れていることに嫌な予感がしていた。
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イライザ(プロフ) - ベルモットさん» ありがとうございます、そう言っていただけるのがとても嬉しいです。 世界観に入り込めるというのは、多分夢小説を描く人誰もが描く人誰もが欲しい言葉だと思います。これからもみていただけるように、精進しますね。いつもありがとうございます。 (2021年4月28日 8時) (
レス) id: d70a88eee0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。以前から感じていた事があります。それは、世界観に本当に入ったような気持ちで、夢小説を読めれる魅力があるイライザさんの小説には、あると思います。夢主が、研究者的なキャラで好みでした。 (2021年4月28日 6時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イライザ | 作者ホームページ：
作成日時：2021年4月27日 23時
