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賭け ページ38

「ええ?!A?!どこにいくのさ!!!」

明らかにAの格好は普通ではなかった。
慌てて呼びかけたスイカの声に反するようにこちらに振り返った、すれ違ったその目は、今までスイカが見たどの目の中でも一等恐ろしいものだった。

「ひっ、」

縫いとめられたように動けなくなったスイカがへたり込んだ時、スイカの異変に気がついた千空が駆けつけた。

「どうしたスイカ、火傷か?怪我でもしたか?」
「ち、違うよ、Aが、Aが変な方向に行ったんだ。」
「はあ?」

指さされた先は激しい山おろしを行なっている頂上、しかも、

「あ、いつ!!」

何をしようとしているのか予想ができた千空は慌ててラボの奥に引っ込んだ。

「どうした千空!」
「ちょうどいいメスライオン、あの女、捕まえるぞ。」
「女?ああ、ほむらとか言われていた奴か、腕がなるぞ。」

ポキポキと好戦的になるコハクに千空はひどく低い声で否定した。

「ちげえよ。あの身勝手なクソアホバカな女だ。」


見たことがないくらいに怒りの色に染まったそれに、コハクはあ、ああととしか声が出なかった。




ーー


一方追っ手を背後につけていたAは離さず、かといって追いつかれない速さで駆け抜けた。
足の速さにそこまで自信がなかったが、ここ半年の間に培った身体能力と、地の利が彼女を全面的に支えていた。

体の重心や、腕の伸縮を、膝や腕の関節で受け止めながら、彼女は走り続ける。

「まるでほむらくんのような女性ですね。」
「……」

無言のまま殺意だけが高まったほむらは岩場に踏み込んだ瞬間、背中が総毛だった。
何か不味いものを本能的に感じ取ったらしい、構わずどんどん前に進み、Aとの距離を縮めようとする主人に、ふるふると止めにかかった。

「死の風。」

それだけ告げられた氷月は一足飛びに木の上に這いあがり、手下たちも慌てて真似て木の枝に飛び上がった。

Aは堂々と道の真ん中で待ち受けていたというのに、それらの行動に、ちっと舌打ちをした。
身につけたガスマスクや、解毒用のボンベを背負いながら、恐ろしい形相で氷月を見上げる。

「あの女の目気に食わない。」

だが下に降りれば、何か嫌な予感しかしないその刹那だった。

「A!!!!」

怒号にも近い声が下から上がってきた。
鬼というか阿修羅というか、それ以上の言葉で例えても足りないくらいに、千空は怒り狂っていた。

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イライザ(プロフ) - ベルモットさん» ありがとうございます、そう言っていただけるのがとても嬉しいです。 世界観に入り込めるというのは、多分夢小説を描く人誰もが描く人誰もが欲しい言葉だと思います。これからもみていただけるように、精進しますね。いつもありがとうございます。 (2021年4月28日 8時) (レス) id: d70a88eee0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。以前から感じていた事があります。それは、世界観に本当に入ったような気持ちで、夢小説を読めれる魅力があるイライザさんの小説には、あると思います。夢主が、研究者的なキャラで好みでした。 (2021年4月28日 6時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イライザ | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年4月27日 23時

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