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一つは青地に白と黄色の小さくとも綺麗な花が隆起して現れ、もう一つは黄色地に美しい牡丹の花が咲いている。
いずれも腰に巻きつけるにはちょうどいい長さのもので、輝きは放ってはいるものの、彼らの衣装のワンアクセントにはとてもいい出来として仕上がっている。
見守っていた村人、特に女性陣は目を輝かせていた。
「ルリさんとコハクさんの姉妹でつけてください。」
「はっ、」
もう何を言われたのかわかったルリは、驚いた顔でAを見つめた。
そして言わずもがなコハクもそのうちの一人だった。
「何時ぞやか言ったでしょう？
いずれこのお礼はすると。」
ここに来た当初、Aはコハクに対して何か不思議なくらい好意的だった。でもそれはあらかじめこれを作りたいとAが思っていたからだ。
コハクとルリは顔を見合わせてから、わっと抱きついた。
「え？ええ？？」
「あ、ありがとう！こんな素敵な帯、見たことないからびっくりしちゃって。」
「A！！やっぱり君はいいやつだ！！」
「あう、ぐっ。」
抱きしめた一方の力が強すぎて背骨ごと持っていかれそうだったAの呻き声と言ったら、女たちの感動のシーンにへーへーと我関せずな千空だが、はしっと横目に捉えたそれは、しんだネズミの死骸だった。
「A、ここにいろ、ルリたちのそばにいてくれ。」
「ええ、わかったわ。」
何か見つけたのだろうと、そう確信したAは抱き締められているにも関わらず神妙な顔をした。
そして千空たち科学班が行ってしまう。
村の女衆が今にもAをとっ捕まえて、あの綺麗な織物の正体を聞こうとするので、ルリは早々にAの手を引いて自室にこもってしまった。
「ふう、これで心配はいらないわ。」
「ありがとう。」
ゆるりと微笑んだAに、ルリは今更ながらAの顔をよくよく見た。
「ねえ、どうしてこれを私と妹にくれたの？」
ゆるゆると問うた彼女に、Aはどこか悲しそうに微笑んだ。
「何故かしらね、ただあなた方の血縁と、ここに石神っていう名前をつけた時点で、なんとなくだけどお返しがしたくなったの。」
「えっ、どうしてここが石神村だと。」
「ふふふ、」
そう微笑んだAに、ルリは鎌をかけられたのだと気がついた。
「あなた、」
「御免なさい、千空が悲しむ顔はあまり見たくなかったんだけど、やっぱりそうだったのね。」
すっと視線を下ろしたその意味を、ルリはまだ知らなかった。
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イライザ(プロフ) - ベルモットさん» ありがとうございます、そう言っていただけるのがとても嬉しいです。 世界観に入り込めるというのは、多分夢小説を描く人誰もが描く人誰もが欲しい言葉だと思います。これからもみていただけるように、精進しますね。いつもありがとうございます。 (2021年4月28日 8時) (
レス) id: d70a88eee0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。以前から感じていた事があります。それは、世界観に本当に入ったような気持ちで、夢小説を読めれる魅力があるイライザさんの小説には、あると思います。夢主が、研究者的なキャラで好みでした。 (2021年4月28日 6時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イライザ | 作者ホームページ：
作成日時：2021年4月27日 23時
