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「ったく、なんなのよ、非合理的ね。」
むすっとしていると部屋の中に残されていたカセキの爺さんが、ちょっといいかの、と声をかけた。
「あっ、ごめんなさい、気が付かずに。」
「いやいや、良い良い、青いものを見せてもらった。中々彼に熱心なようじゃの。」
「ええ、まあ。」
少し切なげに目線を下に落としたAに、カセキの爺さんはふむと考え込むかのように、髭を手繰り寄せた。
「何かあるなら聞かせてくれるかの。
何、もうジジイじゃ、物覚えはよくないのでな。」
はははっと笑うカセキの爺さんに、Aは少し微笑んでから、ゆっくりと言葉にした。
「おじいさん、私、元の世界では理由もなく生きていたの。
けどこの世界で、3700年越しに彼に出会って、自分の今までの至らなさに気が付いたの。
そうしたらもう熟考してる時間すら惜しくなって。
今の私に何ができるか模索中で、でも、周りが見えていなかったのは私だったみたい。」
「そうかのお、理由もなしに生きるのは素晴らしいことではないか。」
「え？」
Aは目を見開いていた。
だがカセキの爺さんは緩やかに髭を動かすだけだ。
「理由なんぞなくても人は生きられる。ただ贅沢なことに、そこに理由があれば、少々の厄介ごとがあっても豊かに感じられる。
今の君は少し生き急いでいるようにも見えるが、今の君も昔の君も千空にとっては同じ君であり、同時に輝いてもいたんだろうよ。
無理に変わろうとしなくても良い、焦りなさんな、まだ若いんだから。」
ニヤッと笑った男に、Aは微笑んだ。
「ふふっ何言ってるのよ。私と千空は3700越えのおじいちゃんとおばあちゃんよ。」
「はははっ、これは一本取られた。」
笑って出て行こうとするカセキの爺さんはゆっくりとこちらに振り向いた。
「そうじゃ、今日はちゃんとお前さんの小屋によるんじゃよ。」
「え？」
何が何だかわからずに寄ってみると、そこにあるのは竪穴式住居、ではなく、
「え、何これ、木造のお家？」
「ししっあの千空に尻叩かれながら、わしとクロムで頑張ったんじゃい、ちっとは褒めんかい全くぅ。」
Aにというよりは、千空にぶつくさ言っているのか、カセキの爺さんはゆっくり休むんじゃぞ〜と言って消えてしまった。
「お、お邪魔します……」
自分の家？のはずなのにびくつきながら入るAは、目の前のそれに唖然とした。
「こ、これは、、」
「ケケケッ、こっちだってただただお前の帰りを待ってただけじゃねえ。」
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イライザ(プロフ) - ベルモットさん» ありがとうございます、そう言っていただけるのがとても嬉しいです。 世界観に入り込めるというのは、多分夢小説を描く人誰もが描く人誰もが欲しい言葉だと思います。これからもみていただけるように、精進しますね。いつもありがとうございます。 (2021年4月28日 8時) (
レス) id: d70a88eee0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。以前から感じていた事があります。それは、世界観に本当に入ったような気持ちで、夢小説を読めれる魅力があるイライザさんの小説には、あると思います。夢主が、研究者的なキャラで好みでした。 (2021年4月28日 6時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イライザ | 作者ホームページ：
作成日時：2021年4月27日 23時
