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だが、それがお古でないことは一目瞭然だったA。
縫い目の合わせ、砂利や細かい泥が入っていない、何よりこんなに綺麗な底面をした底上げの下駄がお古なものか。
軟膏の香りがするコハクの指先をゆっくりと絡ませたAは、微笑んだ。
「ありがとう。大事に使うわね。」
そう言って彼女は布の靴をカバンに仕舞い込み、コハクが持ってきてくれた底上げ型の下駄を履きこなす。舞子さんがよく履き下駄のようでバランスを取るのが難しいが、数歩歩けば段々と感触が掴めてきた。
これはとても便利な代物だ。
「ありがとう、」
彼女の視線は一瞬物見小屋に移り、それからスイカ、コハクの順に目線を合わせ、行ってきます、そう言ってクロムの家から駆け出した。
「まさか見送りに私以外がいるとはな、スイカ、君は優しいな。」
「えへへ、コハクだって優しいじゃん。」
「なっ、ただ私は夏みかんとやらのお礼がしたかっただけだ。
それに比べてあの男は。」
視線が物見小屋に写ったが、何かが動く気配ない。
ふっと鼻を鳴らして笑ったコハクは前を向き直す。
「さ、金狼銀狼がやってくる、体を温めておくか。」
「わわわっ準備運動ならスイカも手伝う！！」
最近興味をそそられたのか、門番と称して金狼銀狼が顔を出すようになったのだ。
二人が去った後、ゆるりと物見小屋から一つの顔が覗く。
「完全に機会奪われたな。
御涙頂戴は勘弁だが、普通一言くらいってくだろうが、家出娘め。」
前回は眠ってる間に出られてしまったため、せめて見送りだけでもと思っていたのに、先を越されてしまった千空は、はたと背中を物見小屋の壁にあてがった。
「ったく、見送りの一つや二つさせろよな。」
彼女の寝泊まり竪穴式住居の室内には一枚の布が。
「しばらく空けます。
頑張って。」
ーーー
それから、猫じゃらしのラーメンに、製鉄炉に使うマンパワーを得た。
次いでにAが持ってきてくれた鉄もふんだんに使い、鉄の棒を作り出し、嵐の日には電磁石を得るために上鳴を使ってまで発電所を起こし、
夜に灯火をつけ、ガラスまで得ることに成功した。
途中怪しそうな男、あさぎりゲンをそばに置いていた千空は、出来上がったラボを前に少しだけ黙っていた。
スイカには一週間と言っていたのに、もう春から夏へと切り替わろうとしている。
出来上がったラボの中で小休止していた彼は、ガラスのフラスコの先をちょいちょいといじっていた。
「いつ帰ってくんだよ、あほ、」
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イライザ(プロフ) - ベルモットさん» ありがとうございます、そう言っていただけるのがとても嬉しいです。 世界観に入り込めるというのは、多分夢小説を描く人誰もが描く人誰もが欲しい言葉だと思います。これからもみていただけるように、精進しますね。いつもありがとうございます。 (2021年4月28日 8時) (
レス) id: d70a88eee0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。以前から感じていた事があります。それは、世界観に本当に入ったような気持ちで、夢小説を読めれる魅力があるイライザさんの小説には、あると思います。夢主が、研究者的なキャラで好みでした。 (2021年4月28日 6時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イライザ | 作者ホームページ：
作成日時：2021年4月27日 23時
