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「千空、どうやら司帝国は随分と計算が杜撰なようね。」
「だな、結局のところ科学は止められねえんだよな。」
「そうね、まあ、その辺りの話はこれでも食べながらしましょうか。若干酸っぱくはあるけれど私たち現代っ子にも食べられるわよ。」
手に持っているのはたくさんの夏みかん。時期的に早いが、早熟の木でもあったのだろうか、ぱあっと目を輝かせたスイカやコハク。
面白いくらいに反応を得られたせいか、いたずらっ子に笑う彼女に、おいおいと千空はため息をついた。
「何言ってんだ。俺たちの方が3700歳も年上なんだぞ、現代っ子ていうならコハクたちの方だろうが。」
「あら言われてみればそうね。」
はたと口元に手を当てた二人は見つめあってから、ニヤッと笑った。
スイカはそんな不思議な二人のやりとりを見て、ふむと考え込んだ。
しっかり夏みかんはもらって。
翌朝、決まったように早くに出発したA、物見小屋を見上げてから、立ち去ろうとすると、待ってよと声がかかった。
「あなたはスイカちゃん。」
村からこっそり抜け出したのだろうか。もじもじとして恥ずかしそうな彼女はあのねと、声を上げた。
「もう言っちゃうの？次はどれくらい？」
「そうね、ちょっと遠出をしないといけないから、すぐには、ね。下手したら一週間くらい、かな。」
「そんなに遠くなっちゃうの？」
「近場から調査に行きたかったんだけど、昨日のを見るとね、どうも悠長に帰ってる暇がないなってわかったから。」
手提げをよいしょと締め直した彼女は、スイカの目線にまで腰を下ろした。
「何か気になるの？」
「千空、ここにきてからすごい頑張ってるの。スイカのことも見てくれた。千空のそばにいちゃダメなの？」
被り物越しなので詳しいことはわからないが、どうやら声色から判断して泣いているらしい。
幼児の涙には弱いが、Aはゆっくりとスイカの被り物を撫でるだけだ。
「そう、うまくいかなくなってきてね。どうやら早めに手を回さないと行けなさそうだから。」
「ならば、これを譲ろう。」
「え？」
Aが見上げた先にはコハクがいた。昨日のやりとりを見る感じだと彼女の目的は単純明快。Aに興味のかけらも示さないだろうと思っていたのだが、どうやら違っていたらしい。
差し出されたそれは、何重にも編み込まれた一束の底下駄がある靴だ。
「布製じゃ心許ない、私のお古でよければ使わしてやるぞ。」
ふふんと誇らしそうなコハク。
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イライザ(プロフ) - ベルモットさん» ありがとうございます、そう言っていただけるのがとても嬉しいです。 世界観に入り込めるというのは、多分夢小説を描く人誰もが描く人誰もが欲しい言葉だと思います。これからもみていただけるように、精進しますね。いつもありがとうございます。 (2021年4月28日 8時) (
レス) id: d70a88eee0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。以前から感じていた事があります。それは、世界観に本当に入ったような気持ちで、夢小説を読めれる魅力があるイライザさんの小説には、あると思います。夢主が、研究者的なキャラで好みでした。 (2021年4月28日 6時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イライザ | 作者ホームページ：
作成日時：2021年4月27日 23時
