Stone World ページ14
「あ？地図？」
素っ頓狂な声を上げた千空はAの方を見ていた。当然だ、言いたいことはわかる。
だがAの信念は揺るがなかった。
あれから、大樹と杠と別れたAと千空は、道中木の下敷きになっていた女の子を助けた。
助けた女の子の名前はコハク、あの琥珀から名付けられたのだろうか、とAは考えつつ妙だなと考えた。
こういった原始人とはまず会話から成立するのが難しい。
言語は大体大まかに分けて、音か節で始まる。狩の時に行う合図から発展したとも、何かの拍子の掛け声だったり、あとは鳴き声からも生まれたのではと推測される。
諸説あるが、日本語は主に文法がよその国よりも圧倒的に複雑で直に教えるものがいなければあっという間に廃れそうだ。
しかしそれで3700年越しに会話できるということは、Aたちの時代の何者かが、彼らの始祖として、この地にいたということになる。
「そんなことが可能なのは。」
もしも奇跡的に生きていた人間がいて、この石化の原因もわかっていたのなら、部隊を組んで今頃この辺りの地域を管轄しているとも考えられる。
3700年、一から文明を築き、仲間を作り上げ、この異常事態に立ち向かっていたのなら、今頃Aたちの体は研究材料の一つとして使われていてもおかしくない。
けれど彼らは外にいる人間に対して疑問を持っていない、というか敵とすら思っている。
しかし、そこに石化が解けた人間とまでは思考回路を持ち合わせていない。
彼らが持ち合わせているのは、この時代に見合った生き方と言葉と文字と、物語。
これらに石化に関する情報がないということは、そこまでこの石化現象に詳しくないものが、彼らの始祖という可能性がある。
もしも、大陸や海を渡ってこの石化が全国に伝わっていたと仮定した時、万一にでもその石化から逃れられるとしたら。
Aの視線は上へと向く。
見上げればいつも吸い込まれそうなくらい綺麗な蒼い色をしてて、悩むことも何もかも馬鹿馬鹿しくなるくらいのあの遠い遠い宇宙から。
「まさか、ね。」
チラリと視線を移された千空は、ん？という顔をしていた。
今のはあくまでも憶測の一環だ。もしもこれを憶測の域から出させるためには少し骨を折らないといけない。
「千空、私地図を作りに行くわ。」
こうして冒頭の言葉に戻るわけだ。
「なんでまた、どうして。」
これからやっとこさ科学王国を作らなければならない千空からしたら、寝耳に水だがAの意思は固かった。
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イライザ(プロフ) - ベルモットさん» ありがとうございます、そう言っていただけるのがとても嬉しいです。 世界観に入り込めるというのは、多分夢小説を描く人誰もが描く人誰もが欲しい言葉だと思います。これからもみていただけるように、精進しますね。いつもありがとうございます。 (2021年4月28日 8時) (
レス) id: d70a88eee0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。以前から感じていた事があります。それは、世界観に本当に入ったような気持ちで、夢小説を読めれる魅力があるイライザさんの小説には、あると思います。夢主が、研究者的なキャラで好みでした。 (2021年4月28日 6時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イライザ | 作者ホームページ：
作成日時：2021年4月27日 23時
