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「私は、望むのなら千空、貴方の目的がシンプルに通るようにしたい。」
「シンプルだあ？」
「なるべく時間は取りたくないという意味。
千空、文明の条件はなんだと思う？」
チラリと見上げたAに対し、その専門はそっちだろ？と返したくなった千空。
だが見つめられた目に、一考した彼はぽつりと呟いた。
「土地と、人間と、経済だろう？」
「そう。
正確には、田畑を作れる川、経済を回す通貨、そして最後に必要なのは文字。」
ピクリと眉が釣り上がった彼に対して、Aは淡々と話した。
「司の考える純粋な未来は、悪いけど、今のままじゃ訪れない。
目先のことしか考えていないのなら、いずれ彼の考える帝国は壊れる。
あの帝国に一番恐ろしいのは、千空、貴方のように考えることをやめない人間よ。
そして私は、貴方がどこまで考えているのかが知りたい。
それ次第で、私は自分の立ち回りを決められる。」
「そうか、なら簡単だ、お前は俺と一緒にいろ、その方が効率的だ。」
「違う、話す気がないなら、私は君と共倒れ。それだけは勘弁願いたい。」
「なあ、A、お前の中で何があった？」
ふっと瞼を下ろした彼女は、ゆっくりと口元で微笑んだ。
「何も、ただ受け取るだけの人生から、生きるって大変なんだと学んだだけ。」
立ち上がった彼女の背中は弱々しくも顎はひき、しっかり前を見ている。
その視線に射抜かれた千空は、はあとため息をついてから、首の後ろをこきりとならした。
「俺の頸、見ろ。」
「？」
何を言われているのかはわからなかったが、視線を移せばそこには石化が残った状態の千空の頸があった。
「言われるまで気づかなかった。採寸の時何度も背中は見ていたはずなのに。」
「いや、構わねえよ。
問題はそこじゃねえ、ここなんだ？」
「なんだって、位置的に第二頚椎で、骨髄や骨以外にも靱帯を伴っている人間の、きゅう、しょ……」
言いかけた彼女ははたとしたように顔を上げた。
ここに行く道のりで、ナイタール液は杠のつま先の石化と同時に痛みも消してしまった。
「千空、貴方まさか。」
「そのまさかだ、A、万一の時はてめえだけでも平静でいろよ。
「……ふっ私だけ平静だったらおかしいでしょうが、安心しなさい、しっかり泣いてあげる。」
「そりゃあおありがてえことだ、」
けひっとニヒルに笑った彼に、Aは心配するように眉を寄せ、そして下を向いた。
その万一とやらは確実にくると確信して。
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イライザ(プロフ) - ベルモットさん» ありがとうございます、そう言っていただけるのがとても嬉しいです。 世界観に入り込めるというのは、多分夢小説を描く人誰もが描く人誰もが欲しい言葉だと思います。これからもみていただけるように、精進しますね。いつもありがとうございます。 (2021年4月28日 8時) (
レス) id: d70a88eee0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。以前から感じていた事があります。それは、世界観に本当に入ったような気持ちで、夢小説を読めれる魅力があるイライザさんの小説には、あると思います。夢主が、研究者的なキャラで好みでした。 (2021年4月28日 6時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イライザ | 作者ホームページ：
作成日時：2021年4月27日 23時
