化かし合い ページ4
「こうも良いようにされるのは、納得いかないわ。」
ちらりとAの視線が意味有りげに三好を捉える。
三好も三好で分かっていながら、無言でその視線を返した。
「何です、僕の顔に何か？」
「いいえ、なんでもないわ。」
本気でなんでもないのか、即答した返事とともに、Aの視線は逸れる。
刹那とも言い難い僅かな時間、三好はもうAの表情など忘れてしまった。
なにを考査し、なにを訴えていたのか、悟らせないのがスパイの醍醐味だ。
そこに感情はいらない、必要なのは繊細な観察力だけ。
しかし、有るのか無いのかも分からない視線など、探ったところで意味を成さない。
頭を休ませないこのやり取りにAはため息をついた。
「…全く食えない連中ね。
これ以上やってられないわ。」
最もらしい台詞に珍しく感情が入ったのか、ひょいと肩を竦ませる。
「もう後は貴方が勝手にやって頂戴。」
ひらりと手を振り、今回の相方の返事など待たずして、Aは出て行ってしまった。
後に一人残った三好は、Aがやったように小さく肩を竦ませる。
「それはこちらの台詞だ。」
小さく響いた独り言。
三好の記憶は数日前に遡る。
魔王の部屋に呼ばれた三好に、唐突に一枚の写真が投げて寄越された。
射干玉色の髪にグレーが混じった瞳、東洋人らしい堀の浅い顔立ちにして、どこか世の中を斜に見ている眼差し。
一見してどこにでもあるような美しい顔立ちだが、顔を背けた瞬間、どんな表情をしていたのか分からなくなるような儚さがある。
コンマ1秒も見ただろうか、
興味がないと放り投げられた写真に目もくれない魔王は、
「その女を連れてこい。」
と唐突な要求した。
は？今なんて仰られました？
声に出さない代わりに無言で問い詰める三好に、魔王は視線すら合わせなかった。
「年齢不詳、身元不明、出生も定かではない。
この意味が、分かるか？」
イエスと答える疑問に意味は無い。
「(同業者か。)」
疑う余地のない答えに三好は眉をひそめる。
問題は魔王の真意だ。
この場合探った所で意味はないのだろうけど、好奇心は誰にでもある。
タイミングを間違えたら2度と答えてはくれないだろう、さてどう割らせるか。
三好が一瞬考え込んだその刹那だった。
「わざわざ小間使いなんか寄越さなくたって自分で行くわよ。
ユウキ。」
凛とした声とともに音もなく、写真の中の女は三好と魔王の前に姿を現した。
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アサノ(プロフ) - 煉林檎さん» こちらこそ、コメントを頂きありがとうございます！！なるべく多く更新していきたいので、応援して頂けるとありがたいです(^^)これからもよろしくお願いします！ (2018年6月27日 10時) (
レス) id: 0af6fdad08 (このIDを非表示/違反報告)
煉林檎(プロフ) - 長々とすみません…！ (2018年6月27日 3時) (レス) id: adcc636ae1 (このIDを非表示/違反報告)
煉林檎(プロフ) - 新作のJGの小説を書き始めてくださりありがとうございます！！貴方様の作るJG小説が大好きでまた読むことが出来、本当に嬉しいです！応援しています♪ (2018年6月27日 3時) (レス) id: adcc636ae1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作者ホームページ：
作成日時：2018年6月24日 16時
