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の 最早、地獄絵図 ページ27

「悪い、邪魔したな。」
「あっおい!」

何も見てないと自分に言い聞かせた佐久間は踵を返して逃げようとする。
が、それは背後から抱きついてきたAに阻まれた。

「あなた、お帰りなさい!」

満面の笑み、とはこの事なのだろう、破顔した笑顔が眩しく感じる。
理解しようとする意識など、完全に吹っ飛んだ佐久間はされるがまま。

するとまた更に厄介ごとが…

「なんだこの騒ぎは。」

カツンと廊下に音が響く。

不味い、全員の心が一致した、廊下の奥には"魔王"が佇んでいる。
ギロリと魔王が睨んだ先には、自白剤ですっかり正気でないAに。
抱きつかれている佐久間は緊張のあまりヒューヒューと過呼吸になり掛けている。

一方Aも結城中佐を見つめ、小首を傾げ一言。




「…お爺様?」

高い舌ったらずの声が本物の地雷を踏み抜いた。
ビシッと全員が固まる。
お爺様と呼ばれた"魔王"は連中を一瞥した後、



「全員後で掛け金を全て持ってこい。」

と一言言い放ち 、立ち去った。
ドッと冷や汗が湧いた一同、するとドサッと音がする。
どうやら、本当に薬の効果が切れたらしいAは途端、佐久間の足元に座り込んで意識を失った。


「、おいっ大丈夫か?!」

一拍おいてAを抱き上げようと手を伸ばすると、バシッ容赦無く叩かれ、Aは手を叩いた甘利の腕の中にいた。

「うちのお姫様に、これ以上手を出さないでください。
あとはこっちが引き受けますから。」
「甘利、だがAは普通じゃない急いで病院に、」
「だーかーらぁ、大丈夫だって言ってるだろ、」

バキバキと指の骨を鳴らし、修羅のような顔の波多野に迫られ、たじろぐ佐久間。
一方この騒動の根源は、スースー心地いい寝息と一緒に安らかな顔で眠っている。
神永と同じように普段警戒している、甘利の腕の中で。


それからわずか十分で正常に戻ったA。

「自白剤入りのお茶を飲ませた?
…へえ、いい度胸してますね。」

記憶のない事情を聞きつけたAはそれはそれは"いい笑顔"だったそうだ。
結城中佐の怒りとA関連の嫉妬で、八つ当たりを食らった佐久間は、自分の運の悪さに心底恨んだ。
それからと言うものAへの訓練以外での自白剤投与は禁止に。

コレで全員は一つ大切なことを学んだ
開けてはならないパンドラの箱とは、この事だと。

さてはて、この茶番は何時まで続く事やら…

お 閑話〈自白剤の後〉→←ゐ 錯乱した女スパイ



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アサノ(プロフ) - masyさん» 返事が遅れてすみません。そんな風に言ってた抱けるだけでとっても嬉しいです。masy様と趣味が合うなんてこちらこそ光栄です笑 (2017年12月27日 1時) (レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
masy - ハリーポッターのも読んでます!もうアサノさんの小説が好きすぎて……(笑)とても面白かったです! (2017年12月24日 20時) (レス) id: 065dd9adad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アサノ | 作成日時:2017年7月9日 14時

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