花咲く君の恋心

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「Aちゃんいらっしゃい」








仕事終わりに寄ったBAR、







笑顔で迎えてくれた海さん。









「元気そうで安心したよ、








励ます役割なくなっちゃったなあ(笑)」









「えー励ましてくださいよー(笑)」









「今日は忙しいからまた今度ね(笑)






でも一杯サービスしてあげるから、






ゆっくりしていってね？」









今日も綺麗なカクテルを出してくれた。









いつもはカウンターに私を含めて3人くらいしか飲んでいないのに







今日は何故かカップルが２組座っているし






テーブルも空席が無いという稀な混み。






きっとこれは失礼に当たるけど





いつもこの時間に来る人は少なくて





だからこそ通いやすかったってのもあるけれど。









暇だなーって






周りを見渡していたら






私の席の４つほど離れた場所に






可愛らしいきのこ頭の人が居て






何故か分からないけど目があった。







別に知り合いでも無いし






たまたま目があっただけですぐ逸らされるかと思ったのに






彼は全然逸らす気配もなくて






私も逸らすタイミングを失った。






そしてふっ、と笑って






海さんを呼び、






私を指差した。









「なあ海、







あいつ、この間振られた女？」









聞こえてしまった聞きたくなかった言葉。







私の恥を知られてた。








むしろ振られてあんなに騒がしかったのに







またここにくる私がどうかしているんだ。








でも私にだってプライドというものがあって









「あの、聞こえてるんですけど」







少しくらい突っかかっても良いよね。








「聞こえるように言った」








「は？どういう性格してるんですか」







「へえ、振られた時あんなに落ち込んでたのに





今では俺に突っかかってくるまで回復したんだ」








回復って……ゲームじゃないんだから。









「……てかお前、覚えてねえの？俺のこと」









即答で言える、









覚えてない。





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