06:他生の縁 ページ7
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「へえ、じゃあAちゃん一週間だけこっち居るんや」
侑くんは手を顎のところに当てて、ふむふむ、という擬音が聞こえるかの如く気難しそうな顔をする。
人というのは不思議なもので、彼とはついさっき会ったばかりだというのにまるで数年来の友人かのようにその会話のリズムが心地よく感じることが出来る。
そして、それには妙な懐かしさも覚えた。
「うん、だから一週間良かったら仲良くして欲しいな」
私がそんな事を言うと、侑くんはガバッと勢い良く顔を上げてそれから「任せとき」って言いながら笑ってくれた。
「ところで」
「へ?」
「Aちゃんは結局此処で何しとったん?」
ぴたりと私の身体は固まる。
何と言おう、いやもう答えは分かりきっているのだけれど。
ただ侑くんの目を盗んで彼の顔を見ると、何だか多分彼には嘘とかそういうのは聞かないんだろうなと思った。
私は一呼吸置いて、口を開く。
「散歩してたら偶々此処に通りかかって、これ、作ってた……」
そう言って私は胸の前に先程握りしめて少しよれてしまった花冠を差し出す。
侑くんはそれをまじまじと見つめる。
その瞳の奥は少しばかり揺れていたような気がした。
「引いた…?」
「何で?」
「だ、だって、高校生にもなって一人で花冠作るとかちょっと恥ずかしいでしょ?」
侑くんは目を丸くさせて驚いたように私を見つめていたけれど、すぐにあの笑顔に戻ってそして声を上げて笑う。
「ああ、なんやそんな事」
「そんなんで俺が引くわけないやろ?ってか、Aちゃん自分ほんま面白いなあ」
ツボにハマったのか、侑くんはお腹を抱えてゲラゲラと笑っていた。
そんな様子が何だか微笑ましくて、私もクスリと笑う。
閑静な公園には軽やかな小気味良い二つの笑い声が元気よく響き渡っていた。
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作者名:木木(キキ) | 作成日時:2018年2月8日 18時