04:ささやかなる逢瀬 ページ5
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「其処で、何してるん?」
過去に想いを馳せていると背後からそう声が聞こえた。
振り向けば綺麗な金髪の髪を揺らしながら此方を不思議そうに見つめる男の子が一人立っていた。
「ええと…」
何と言おう。
馬鹿正直に「高校生にもなった女が一人で花冠作ってました」なんて言おうものなら、確実に頭が可笑しい奴と思われる。
それだけは何としてでも避けたかった。
私が彼の問いに答えあぐねているのを見て、彼はどうしたのかと此方へ向かってくる。
すかさず背中に隠した花冠をぎゅっと握りしめて、顔を俯ける。
「君見かけん顔やな、此処ら辺の人?」
彼は私の顔を覗き込むようにして尋ねてきて、驚いた私は思わず先程作った花冠と一緒に両手を前に出してぶんぶんと振った。
「い、いや、別に怪しい者では…!」
「……花冠?」
「ええ…?」
私の手元をはたと一瞥し、暫くすると先程までとは一変ははは、と大きな声で笑った。
現状を把握しきれていない私はきょとんとした風に彼を見る。
「ああ、ちゃうちゃう。そんな取って食おうなんて思ってへんからそんな怖がらんといてや。」
「はあ…」
未だに頭が追いついていない私とは対照的に、目の前の彼は満面の笑みで此方に話しかけてくる。
そもそも男の人と話すのは苦手な私にとって、今この現状はとりあえず苦行である事だけは確かだった。
「偶々この公園通りかかったら人が蹲っとるから吃驚して声かけてしもたんよ。驚かせて悪かったな。」
「あ、いえ、別に…私の方こそ驚かせてしまってすみませんでした」
何て愛想がないんだ自分。
目の前の人も幻滅してはいやしないだろうか。
しかしそれは杞憂だったようで、彼はすっと手を差し出してきた。
この手の意味は何なのかぼけっと考えていると「んっ」と更に私の胸の前に差し出してくる。
「此処であったのも何かの縁やな!何やよう分からんけどとりあえず仲良うしようや!」
彼の眩しい笑顔に圧倒され、言われるがままにたどたどしい手つきで彼の手を握る。
その手はゴツゴツしていて大きかった。
「よ、よろしく」
そう言った私の顔は多分凄く引きつっていた事だろう。
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作者名:木木(キキ) | 作成日時:2018年2月8日 18時