▽mission181 ページ41
*
「……………………」
橋の上で上がった火柱を見て私はぐっと唇を噛み締め、まず警察に通報。
どうやら事故らしい、加えて気の所為かもしれないが向かいの橋で怪しい黒い車が交通を妨げている＿＿＿＿
あくまでただの一般人が目の前で起きた事故に驚いて電話したように、それでいて聞く人が聞けば例の狙撃犯ではないかと分かるように。
にわかに騒がしくなった電話の向こうを無視して電話を切り、次は救急の番号を押す。
だが今通報する訳ではなく、私はずっと跨っていた自転車のペダルを踏み込んだ。
昨日確認したかったのは、今日がこの日かどうなのかということ。
全速力で火柱の上がった場所に向かい、そこにいた人影に向かって叫ぶ。
「コナンくん！！！！」
「なッ…………Aさん！！？」
そして、
「真純！！！！！！」
血の池の中心に横たわる少女の名前を叫んで自転車を乗り捨てた。
派手な音を立てて滑っていった自転車は見なかったふりをして、手で傷口を圧迫しているコナンくんに救急へ発信したスマホを押し付ける。
「止血なら私がやるからコナンくんから説明して！」
「ッ分かった！」
すぐ電話口に向かって状況説明を始めたコナンくんを見る余裕もなく、ポーチに入れていたタオルとビニールを被せて世良ちゃんの傷を押さえる。
正直泣きそうだし、手も少し震えている。
だが世良ちゃんが命の危険に晒されるのを軽減する、これが私に出来る精一杯だ。
「ッ、世良！！！」
「コナンくん、対処法はこれで、！？」
「ッとりあえずオレ達に出来るのはこれしか、……っく、どうしてこんな、くそ、ッくそ！！！！！」
電話を終えたコナンくんが悔しそうに吠えた。
大きく肩で息をするコナンくんは珍しく動揺しきっていて、そりゃ自分を庇って友人が撃たれたのだから仕方のないことだろう。
かく言う私も全身の力をかけて世良ちゃんの傷口を押さえることしかできないのだ。
コナンくんを落ち着かせるような所業が出来るわけもなく、ただ私たちは遠くに聞こえ始めた救急車のサイレンに祈るしか出来なかった。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5383人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
moo(プロフ) - 控えめに言っても言わなくても滅茶苦茶面白いです！ (2021年7月13日 16時) (
レス) id: 36860c259a (このIDを非表示/違反報告)
221B - 面白いです続編読みたい…いつか更新してくだされ…！ (2021年6月14日 21時) (レス) id: 43784786f9 (このIDを非表示/違反報告)
おかか。ですか(プロフ) - 面白すぎて夜中に一気読みしちゃいました笑続き首を長くして待っております！ (2021年5月23日 1時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
Lapislazuli. Charlot.(プロフ) - 面白すぎてはまったw(。^。^。)最高 (2021年5月17日 19時) (レス) id: b8ccefd154 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 何度読んでも面白いです！更新待ってます！！ (2021年4月27日 2時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：斗
| 作成日時：2019年6月7日 14時
