▽mission156 ページ16
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「ありがとう、大丈夫です…………」
体調は万全だが精神的に磨耗しきっていた私は笑顔を浮かべてお礼を言う。
ふらふらゲーセンを出ようとすれば付き添ってくれた青子ちゃんに軽く泣きそうになった。
めちゃくちゃええ子やん………
ゲーセンを出て、道路に面したベンチで並んで座る。
「わざわざありがとうございます………」
「そんなことないです!お姉さんが大丈夫なら良かった!」
微笑んでもう一度お礼を言う。
気負わない笑顔で返事してくれた青子ちゃんが少し眉を下げた。
「むしろごめんなさい、青子、お兄さんだって勝手に勘違いしちゃって…………」
「全然いいんですよ、なんてったって私こんな感じですし」
ひらひらと手を振って笑みを浮かべる。
そのまま少し青子ちゃんの方を覗き込んだ。
「青子ちゃん、ですか?私は山崎A、大学生です」
「あ、えーと、中森青子です!高校生です!」
「それじゃ青子ちゃん、お礼って言っちゃなんですけどお茶なんて付き合ってくれません?」
思わず訪れたチャンスを逃してたまるかと青子ちゃんをナンパすれば、青子ちゃんは困ったように笑った。
「いえ、そんなお気遣いなく!それに幼馴染と待ち合わせしてるので………」
「……その幼馴染って男の子ですか?」
「あ、はい!大バカですけど……」
よく考えれば青子ちゃんが一人でゲーセンに来るはずがない。
加えて青子ちゃんの幼馴染の男の子と言えば。
どうしよう、青子ちゃんとお茶したいのは山々だけどキッドの中の人はそこまでお呼びではないのだ。
いやほらなんていうか、キッド様が好きだからこそあんまり会いたくないというか………ほらこのなんか複雑な乙女心(???)みたいなのあるじゃん…………???
「青子ちゃん、メアド交換してもらってもいいですか?また今度、改めてお茶に誘わせて下さい」
「は、はい!」
ポケットからスマホを取り出せば、慌てたように青子ちゃんもスマホを取り出してくれる。
いざメアド交換といったその時、突然ぽふんと白い煙が手元に立った。
戸惑いつつも手元の煙が消えるのを待てば青子ちゃんのスマホが消えている。
「エッ」
突然のことに間抜けな声を漏らせば、スマホの消えた当の青子ちゃんが頰を膨らませて後ろを向いた。
「ちょっとバ快斗!!何すんのよ!!!」
「うるせ〜アホ子!お前はもうちょい防犯意識ってもん、を、……」
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moo(プロフ) - 控えめに言っても言わなくても滅茶苦茶面白いです! (2021年7月13日 16時) (レス) id: 36860c259a (このIDを非表示/違反報告)
221B - 面白いです続編読みたい…いつか更新してくだされ…! (2021年6月14日 21時) (レス) id: 43784786f9 (このIDを非表示/違反報告)
おかか。ですか(プロフ) - 面白すぎて夜中に一気読みしちゃいました笑続き首を長くして待っております! (2021年5月23日 1時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
Lapislazuli. Charlot.(プロフ) - 面白すぎてはまったw(。^。^。)最高 (2021年5月17日 19時) (レス) id: b8ccefd154 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 何度読んでも面白いです!更新待ってます!! (2021年4月27日 2時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:斗 | 作成日時:2019年6月7日 14時