▽mission35 ページ36
*
ケーキを皿に移し、紅茶に口をつけたところで沖矢さんが口を開く。
「おかしいとは思わないんですか？」
「何故？」
彼も自分の分のカップを手に持って真っ直ぐこちらを向いている。
「先程君はこのケーキに何も仕込まれていないと言外に伝えた。つまり我々が君を疑っていることには気付いているはずです」
「……うぃ」
「それなのに君は僕が出したものを警戒もせずに口にした。何が入っているか分かったものではない、僕の淹れた紅茶をね」
揺さぶられている。
うん。めっちゃ揺さぶられてる。こわい。
沖矢さんをじっと見つめ返し、隣のコナンくんを横目で眺め、自分のカップに視線を戻す。
少し考えて私は紅茶を一気に飲み干した。
「ヴォッホゲッホアッッッッヅアッあっ舌火傷したアツッ」
淹れたてホヤホヤの紅茶はそりゃあもう熱い。
気道に入って咳き込むわ舌は火傷するわで喉もちょっとヒリヒリしてるわで少し悶えつつ彼らに向かって空のカップを掲げる。
「恐らくただの紅茶、もし仕込まれていたとしても睡眠薬程度。致死性のあるものではないはず」
「根拠は？」
「ないです」
「ねーのかよ……」
カッコつけて言い切ると横から呆れたような声が聞こえた。
「仮に君の言う通りだとして、君はもしかすると睡眠薬かもしれないものを飲み干した訳ですね」
「そうなりますね」
そう言い切れば沖矢さんからも呆れたような表情を向けられる。
少し警戒が緩んだんじゃなかろうか、と思ったところで私は宣言した。
「そろそろどう疑われてるのか教えてください、じゃないと言い訳もできないです」
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「名探偵コナン」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Sun._raise(プロフ) - やばい、ハマった (2022年2月1日 0時) (
レス) @page49 id: 276bbde748 (このIDを非表示/違反報告)
どぅわああああ - mission47、主人公と博士は夜想曲の帰りのスバルさんに乗っているので初めましてではないですね。とても面白いので続編以降も楽しみです。 (2021年7月14日 1時) (レス) id: 04b80a02c7 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！ (2021年7月13日 13時) (レス) id: 36860c259a (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 自転車事故のくだりめっちゃ爆笑しました！この作品大好きです！ (2021年4月25日 22時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
よる - まだ設定しか見てないけど名前入れたら本名になって驚き��(ﾟДﾟ) (2020年4月22日 23時) (レス) id: c5f0e73031 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：斗
| 作成日時：2019年4月13日 23時
