�� - �� ページ31
*
病院の中庭に面するベンチに腰掛ける。
日が当たる気持ちのいい場所。
「こーちゃんはなんでここに？」
「おじちゃんのお見舞いで」
「こーちゃんになんかあったわけじゃ無いんだね、よかった」
本当にホッとした顔で言う。
腕に管をつけて何言うてるん。
「なぁ、全部教えてや」
「いやだ。…こーちゃんはもう帰って。」
「たとえ今日帰ったとしても、また来る。
明日も明後日も。病室つきとめて毎日来る。
どうせもう知ってしもうたんやから、全部教えてや」
君はそっとうつむく。
髪も顔も何もしてないんだろう。それで なおさら儚くて、頼りなくて、今にも消え入ってしまいそうだ。
「こーちゃんには、いつも勝てないね。そういう運命なのかな」
そう言って自嘲気味に笑う。
そんな運命に繋がれてるならば、
どんなにかうれしいだろう。
それから君はポツリポツリと話し始めた。
．
付き合い始めて1年と少しした頃、微熱と頭痛とが続いた。
日常生活に支障が出るほどじゃなかったけど、まあ薬か何かで収まるならありがたいと病院に行った。
すると大掛かりな検査をされて、
診断されたのはドラマの中だけだと思っていたような病気だった。
仕事の上司以外、誰にも言わないまま。
仕事して、俺の相手をして、通院して。
そんな日々を1年近く過ごしてた。
そして、とうとう もうどうしようもなくなって、ごまかしきれない状態になった。
仕事を辞め、俺に別れを告げ、入院し、
そしてやっとはじめて家族に伝えた。
．
いつのまにかほおを濡らす涙。
君に去られてから初めての涙。
君は細い指で拭ってくれた。
「泣かないでよ。だからやだったのに」
少し近づいて、前のように腕を絡ませる。
「もう帰りな。ね？」
「いやや」
俺の止まらない涙を見て君は、
そんな泣き虫じゃないでしょう？って、小さく笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 316人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るる(プロフ) - 終わりなんですか？？悲しいです、、（；＿；）これからも他の作品楽しみにしてますo(^_^)o (2015年9月7日 0時) (
レス) id: d3f77465dd (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅ。// - こーちゃんのは号泣です泣、あとはめっちゃきゅんきゅん//しました笑。\(*´∀`*)/更新頑張ってください (2015年8月19日 1時) (レス) id: 265b6a7a78 (このIDを非表示/違反報告)
みさみさ(プロフ) - もう、めっちゃ感動しました（泣）泣きました〜素敵な作品ありがとうございました！これからも頑張ってください!! (2015年8月15日 0時) (レス) id: b9c42e7b14 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 羽空さん» コメントありがとうございます！号泣なんて…！うれしいです(´｡･o･｡`)がんばります！ (2015年8月14日 22時) (レス) id: 5f993869e2 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - ミユカさん» コメントありがとうございます！Twitterもこちらも見てくださってるなんてうれしいです！そんなに言ってくださるなんて本当にありがたいです。がんばります！ (2015年8月14日 22時) (レス) id: 5f993869e2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はな | 作成日時：2015年8月9日 4時
