華戦～HANAIKUSA～三章 (ページ9)

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八想ページ9

*

もう待てない

旦那さまが動かないなら

妾が、嬢さまを・・・

***

――― 助けて！！ ―――

――― 消せ ―――

――― 貴女もあのようになりたい? ―――

――― いやっ！！ ―――

サケビタイノ

スガリタイノ

・・・メザメタイノ

四肢を支配する恐怖(おそれ)

ねえ、Aって呼んで

抱きしめて

動かない瞼を・・・キスで起こして

「ひ・・ろと？」

ベッドで空を切る手

シーツの上を滑るように伸ばして探す

いつもの香りと熱さ

強い腕と呼吸音

心落ち着く全てが存在しなくて・・・

ああ、だから

一人で眠ってたから、こんなにも心細いんだ

「どこ？」

ぼんやりする頭を抱えながら広斗を探す

きっとリビングにいるはず

雅貴とビール飲んでるかも？なんて考えながら・・・

ドアに近づくと・・・

『んなデタラメ言うな！！』

『落ち着いて聞けって、広斗』

言い争う声が耳に入って来る

今はドアを開けちゃダメだ

今はコレを聞いちゃダメだ

そう思うんだけど、全神経が片耳に集まってしまう

しばらく無音のリビング

雅貴の声が鳴り始める

『今はあくまで推測でしかない
　
　だが、九龍の菊志野が雨宮を恨む理由も、

　 Aちゃんが“ 華 ”に選ばれた理由も、

　これで全て辻褄が合ってしまうんだ』

『なら、あの墓にいんのは・・・』

『スモーキーに聞けばいい』

・・・信じられない

雅貴の言葉はわたしの真の姿を紡いだ

――― Aちゃんは俺達の妹だ ―――

***