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十哀 ページ34

***





思わず叫んだ





――― お願い、行かせて!! ―――





広斗に柳葉刀を突きつけ、立ちふさがったリュウに・・・





***





「 ねねね、お兄ちゃんメッチャ頑張ったんだよ♪ 」


「 そ? 」 「 か? 」


「 お前ら、末っ子は昔から俺に冷たい(泣) 」





兄貴には素直なクセに・・・って、雅貴がリビングの隅っこで体育座り


床にのの字をグルグル


たった一人で“ FUNK JUNGLE ”のメインフロアで闘ったコトを褒めてほしかったみたい





「 おにい、ごめんね。 勝手に出て行って・・・ 」





雅貴の隣でかがんであやまったら





「 いいんだよ、A♡ 悪いのは広斗だし、また一緒に暮らせるんだから 」





えくぼを見せながら頭ポフポフ♪


そう、お母さんみたいに甘くて優しいのは、二番目の『 おにい 』の雅貴


一番目の『 大にい 』の尊龍は口数少ないお父さんタイプ


三番目の『 チィにい 』の広斗は、年が近いぶん一緒にいた時間が長くて喧嘩もよくしてた


記憶を取り戻して気づいたコト


上の二人はすでに大人で、姿が五年前と変わらないから素直に家族として受け入れられる


でも、広斗は違う


少年からオトコに・・・


わたしも離れた五年間で、


少女からオンナに変わってしまった





「 う・・ん 」


「 少しずつ元に戻ろう? な、広斗も強引なコトすんなよ 」





返事をしない広斗


あなたも感じた?


兄妹にも恋人にも戻れない、哀しい違和感を・・・





「 わたし喉乾いた 」




ぱたぱたキッチンに行き冷蔵庫から飲み物を取り出す


『 二人も飲むよね? 』ってグラスを出して琥珀色の炭酸を注ぐ


二つをいっぱいにして、三つめを注ごうとしたら





「 おい、お前。 なに入れてんだ? 」


「 ビール 」


「 馬鹿! 」





わたしの企みに気づいた広斗が瓶を取り上げ、残ったビールを直飲み


あーあ、邪魔された





「 お前はコッチ 」


「 アップルタイザーだ♪ 」


「 好きだったろ? 」


「 うん♪ 」





ソレ俺が買った♪って雅貴まで来て自分を指差してニコニコ


サラミやチーズをお皿に盛り付け、三人でリビングに戻った





「 Zzz・・・ 」





少ししか飲んでないのに雅貴が寝ちゃった





「 なあ 」


「 広斗? 」





***





十哀・LOCKED―ROOM(PASSWORD INPUT SYSTEM)

http://uranai.nosv.org/u.php/novel/hanashitone1/





***

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作者名:姫保 | 作成日時:2016年6月4日 23時

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