華戦～HANAIKUSA～三章 (ページ19)

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六憂ページ19

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いつも(・・・)通り、菊志野がわたしの世話をする

いつも(・・・)通り、わたしはソレを受け入れる

今までの日々に戻った

只それだけなのに・・・

わたしの中の『いつも』は広斗によってすり替えられていた

***

「庭の金木犀が美しゅうございますよ、嬢さま」

庭に面した障子を開けた菊志野

わたしに見せようと声をかける

「雨も上がって、日差しも心地良いですし・・・」

わたしが熱に浮かされ続けた数日、雨はずっと降り続いていたという

その間、意識は夢の中を彷徨い続けていた

『小さなわたし』と

『大きなわたし』が

誰かから逃げる映像が何度も繰り返される

そして・・・思い出した

追っ手の正体を

そして・・・取り戻した

わたしの正体を

「大(おお)にい、おにい、・・・チィにい」

大好きだったパパが死んだ夜、

泣きじゃくるわたしを三人の兄が抱きしめてくれた

ずっと守るって言ってたのに・・・

ずっと一緒だって言ってたのに・・・

「 ―――― 」

「嬢さま？何かおっしゃいましたか？」

「・・・ううん」

――― ウソツキ ―――

***