十華 ページ33
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「 雨すごいね 」
「 ああ 」
「 明日お出かけできるかな？ 」
「 どうだか 」
「 ・・・カップケーキ 」
「 気になるのはそこか！ 」
朝からずっと振り続ける雨
夜になっても止む気配がない
しばらくして・・・
「 あっ、光った！ 」
Aが外を指さした途端、ゴロゴロ・・・ドドーン！！
激しい雷の音
「 ふへっ！ 」
まぬけな声を上げるA
「 普通、女だったらそこは『 キャー 』じゃね？ 」
「 うぅ・・・びっくりしたよ 」
外見を裏切る反応するよなコイツ
で、窓から離れて俺が座るソファーに速攻で来た
「 邪魔 」
「 ・・・ 」
「 離れろ 」
「 嫌！ 」
ギュッ！
隣に座って俺の腕をつかんで離さない
雷が鳴るたび、ビクッと肩が揺れる
「 爪食い込んでいてーんだけど 」
「 あっ、ごめん 」
パッと俺から手を離したと同時に又雷が鳴って・・・
コイツの手は俺の腕に逆戻り
「 雷嫌い。 だって・・・ 」
「 ん？ 」
「 あの音と振動が刺さりそうなんだもん 」
「 どこに？ 」
「 耳と心に・・・ 」
「 ふぅん、じゃあ 」
「 広斗？ 」
――― コレナラ？ ―――
Aの耳を俺の手で塞いで目じりに唇を寄せた
反射的に瞼を閉じるA
突然のことにポカンと開いた口
俺を呼ぼうと動いた瞬間、それを遮るように口づけを与える
「 A・・・俺の声だけ聞け 」
「 ひろ・・？ 」
「 俺のことだけ考えろ 」
「 う・・ん 」
何度も名前を囁いて・・・
何度も唇を重ねて・・・
ようやく雷が遠のいた頃、Aが瞳を開いて俺に言った
「 やっとわかった 」
「 何がだ？ 」
「 夜わたしに触れる温かいもの 」
俺の唇をなぞる細い指
「 嫌か？ 」
「 や・・じゃない。 でも・・・ 」
「 ん？ 」
「 今、寒くないよね？ 」
「 ！！ 」
先週の海のことか
「 キスは特別な女にだけだ 」
「 キス？ 」
「 そう、だからお前も俺以外とはダメだからな！ 」
「 うん！ 」
コイツが意味を理解しているかどうかはおいといて・・・
Aを女として見てしまった以上、俺以外の男には触らせないと心ん中で誓った
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作者名：姫保
| 作成日時：2016年2月4日 2時
