第四三訓 ページ43
人とは、あっけなく死んでいくものだなぁ、と思う。
そしてここからはその後の、話。
言葉通り私は死んだ。
それからは大変なことが続いたと、三日月は面白そうに仏壇に向かい…否、私に向かって話す。
本人曰く一発、だが明らかに一発以上清光に殴られたらしい岩融は、絶命した私と母様を抱えて本丸へと帰ってきていた。
すぐに手入れ部屋を借り、手当てをしたものの刀とは違い、私の息は返さなかった。
何せ神の召喚したモノの毒が全身に巡っていたのだ。…もう、手遅れだと誰かが言った。
ただ、付喪神となっていた輪廻は賽子を修復したことで生き返った…というのは神に使う言葉ではないか。まぁでも、言葉通り、生き返った。
本丸に残っていた者は話を岩融と輪廻から聞き、二人に刀を向けたり、困惑していたり、その態度は様々だった。
けれど、もう居ぬ私を思い、母様は泣いた。
岩融も、その隣でただただ頭を下げていた。
そんな思いが届いたのか、どうにかこうにか…そう、ずっとこの神社の本丸の当主として生きて来た私の抜けた穴は少し深いものだったらしいが、どうにか刀剣たちも少しは吹っ切れてくれたようだ。
一応、付喪神を束ねるものとして審神者という存在がいないと私の残した刀剣たちが政府によってバラバラにされてしまうからと母様が審神者という器に収まってくれた。
一度壊れたその賽子の力は薄く、母様はもう神としての力はない。
ただただ、人として、私の代わりを全うしている。
そうしてどうにかこうにか自体も落ち着き、再び魂がこの地へ導かれる頃ーーー。
「それから…幾度も季節は巡った。…また、春が来るぞ、主」
庭に積もった雪は春の日差しに少しずつ溶けていく。
ーーーかつん、
あの時、最後に輪廻の胸元をついた小太刀を拾い上げた。
「ああ、こんな日には奇跡が起こるものだね」
そう言って小太刀を懐へしまい込むと、Aは。
…私は、笑う。
「出雲守家に代々伝わるこの刀の付喪神、A。
今ここに、地獄から這い上がってきたんだ。
…はは、久しぶり、三日月」
「…おかえり、俺の愛しい人」
ーーー今再び、この物語は始まるーーー
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黎奈(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます！！すごく面白かったです。完結お疲れ様でした！第四訓で宗三左文字が宗山左文字になっていらっしゃるのでご報告させていただきます。あと、ちょこちょこ報告に来るかもしれません… (2015年10月18日 22時) (
レス) id: 339ceb4b4b (このIDを非表示/違反報告)
華維璃(プロフ) - お疲れ様でした！とても面白かったです！小説の書き方、参考にさせて頂きます<(_ _)> (2015年9月22日 20時) (レス) id: 5dbf713d35 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - お疲れ様でした！ (2015年7月19日 17時) (レス) id: bbc5de6b90 (このIDを非表示/違反報告)
らい兎(プロフ) - 第三四訓の「突き出ているのは日本の大きな角。」というところもしかして日本→二本でしょうか？面白かったです。 (2015年7月13日 23時) (レス) id: 5d4b050560 (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - お疲れさまでした、面白かったです！宗近のじいちゃんが入手できないのが痛いですね。 (2015年7月10日 19時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：稜 | 作成日時：2015年4月10日 14時
