第二八訓 ページ28
「左文字くんたちは教えてくれなかったし、薬研くんと一期くんは答えてくれたけど主には言わないで、って言われたしなぁ…ああもう、ほんと。ここの刀剣たちは主に甘いんだから」
本当にそれを伝えない、俺も主に甘いのかもしれないけど。
「ちょっと光忠ー？ちゃんと顔洗ったよー。早く来て、みんなでごはんたべよーよう」
「ああ、はいはい。今いくよ」
光忠は肩を落として軽く笑い、皆の待つ、居間へと向かった。
「群れる気はな…」
「大倶利伽羅ったら照れてないで、はい群れて群れてー」
「骨喰、ちゃんとたべなきゃだめでしょ」
「…鯰尾だって、残してるじゃん。にんじん」
「おいしいですね！やっぱり、燭台切さんのご飯大好きです！ね、秋田！」
「そうですねっ、おむらいす、大好きです！」
いつもと違う人らだとこんなにも雰囲気が変わるのか、とAは思いつつ目の前のオムライスに目を輝かせた。
「おお、ふわとろ…今度作り方教えてもらおうかな…」
「俺っちもできるぞ、大将」
そう声をかけたのは、薬研。
唯一、本丸に残った組だ。
「…僕も作りたい。教えて」
「あれ、小夜、こっちにいるの珍しいね。いつも江雪か宗三の所にいるのに」
ぴた、っとAの背中に抱きついた小夜の頭を撫でながらそう言う。
小夜は小さく頷いた。
「……二人とも、みんなの指示で忙しいから」
「…指示？」
「んーん、なんでもない」
「？」
小夜は薬研の方へ顔を向ける。
「で、教えて、くれるの？」
「おう、もちろんだ」
にこっと薬研は笑う。
小夜も目を細めてうれしそうに、笑い返した。
「どう、おいしい？」
そう声をかけてきたのは光忠だ。
自分の食事は終わったのだろう、綺麗に片付いている皿を重ねて手にしている。
「うん、おいしい！いつもありがと！」
「どうしたしまして。ほら、主も食べ終わったらお皿まとめて台所に持ってきてね」
「はぁい」
忙しそうに家事をこなす光忠を見、Aは一瞬困ったように箸を止め、すぐにその皿を片付けるとぱたぱたと光忠の元へ向かう。
「手伝うよ」
「ん、ありがとう。じゃあ、洗い終わった食器、拭いてもらえる？」
「わかった」
きゅ、きゅっと食器を洗う、その音だけが響く。
静かだなぁ、とAは口を詰むんだ。
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黎奈(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます！！すごく面白かったです。完結お疲れ様でした！第四訓で宗三左文字が宗山左文字になっていらっしゃるのでご報告させていただきます。あと、ちょこちょこ報告に来るかもしれません… (2015年10月18日 22時) (
レス) id: 339ceb4b4b (このIDを非表示/違反報告)
華維璃(プロフ) - お疲れ様でした！とても面白かったです！小説の書き方、参考にさせて頂きます<(_ _)> (2015年9月22日 20時) (レス) id: 5dbf713d35 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - お疲れ様でした！ (2015年7月19日 17時) (レス) id: bbc5de6b90 (このIDを非表示/違反報告)
らい兎(プロフ) - 第三四訓の「突き出ているのは日本の大きな角。」というところもしかして日本→二本でしょうか？面白かったです。 (2015年7月13日 23時) (レス) id: 5d4b050560 (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - お疲れさまでした、面白かったです！宗近のじいちゃんが入手できないのが痛いですね。 (2015年7月10日 19時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：稜 | 作成日時：2015年4月10日 14時
