第十六訓 ページ16
「と、言うわけです。…さっきはごめんね、今剣」
Aは自分の母の事、岩融の事を改めて全員に言い、今剣と向き合った。
「いわとおしゆるしません!つぎあったら滅多打ちにしてやりますよ!」
「はは、ありがとう。なんだか滅多打ちっていう単語だけはっきり聞こえたのは気のせいかな」
「きのせいです!」
今剣は唇を尖らせて言う。
思っていたより暗い雰囲気にならなかったのは彼のおかげだろうか。
「…でも俺、岩融の気持ちわからなくもないなぁ」
「えっ、まじで?」
そう言ったのは清光。驚いたのは、Aだけ。
「そうだな。俺も主の名を知りたいと思うし、独り占めしたいとも思う」
「じいさん、よく恥ずかしげもなく…」
「はは、だから言ったろ?たいしょ」
「…勘弁してよぉ」
そこまで入れ込まれる訳がわからん、とAは言う。
「主はある意味わしらの恩人じゃ!もう一度、戦場に立たせてくれたき。尊敬しているし、敬愛しているのはみな、同じじゃ」
「まぁ名前は教えないけど」
「…ケチだな」
「山姥切ー、聞こえてるからねー」
ざわざわと、広間が明るくなる。
ぱっと周囲を見渡せば、新しく入った三人も、今し方いらした今剣も上手く馴染めているようだ。
それなら、とAは口を開く。
「そろそろ鍛刀してもいいかなぁ」
「たんとう、ですか」
太郎の返事に頷いた。
資源をまとめた書類を空中に画面として浮かび上がらせる。
「もう資源が8000はあるのよ。戦に出てもらうのに刀装はもう最初に特であげてるし…使い道ないんだよね」
他の新人審神者とは違い、もともと数人の刀剣男子がいたAには新たに刀を叩く必要が今まではなかったのだ。
「今は時代的にも今のメンツで大丈夫だと思うんだけど…これからのこと、考るとね。人数必要かなって」
いつしか審神者育成課の安部だか阿部だかが言っていた言葉。
多いことに越したことはない。
そう、多ければそれぞれ誰かが怪我をすれば代わりに入ってもらい、治療に専念することもできるし、夜戦が多い時には短刀や脇差メーンで隊を組んだり…はたまた、料理や掃除などもできるのだ。
「ええっ、これ以上増えたら俺、主に愛されなくなっちゃう!」
「いやいや、余程のことがない限り清光は近侍外さなから!」
「余程のことあったらどうするの!?俺解刀されるの!?」
「しないってば!」
が、やはり反対の者もいるわけである。
さて、どうしたものかとAは腕を組んだ。
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黎奈(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます!!すごく面白かったです。完結お疲れ様でした!第四訓で宗三左文字が宗山左文字になっていらっしゃるのでご報告させていただきます。あと、ちょこちょこ報告に来るかもしれません… (2015年10月18日 22時) (レス) id: 339ceb4b4b (このIDを非表示/違反報告)
華維璃(プロフ) - お疲れ様でした!とても面白かったです!小説の書き方、参考にさせて頂きます<(_ _)> (2015年9月22日 20時) (レス) id: 5dbf713d35 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - お疲れ様でした! (2015年7月19日 17時) (レス) id: bbc5de6b90 (このIDを非表示/違反報告)
らい兎(プロフ) - 第三四訓の「突き出ているのは日本の大きな角。」というところもしかして日本→二本でしょうか?面白かったです。 (2015年7月13日 23時) (レス) id: 5d4b050560 (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - お疲れさまでした、面白かったです!宗近のじいちゃんが入手できないのが痛いですね。 (2015年7月10日 19時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:稜 | 作成日時:2015年4月10日 14時