第四一訓 ページ41
「…ッ！！」
…間一髪。
蛇の牙は少しAの二の腕を掠っただけであった。
逆に蛇の目玉には深くAの小太刀が突き刺さっている。
ーーーギャッ
蛇は小太刀を振り払おうと身体を打ち付け暴れ始めた。
Aは輪廻からも蛇からも距離をとると唐突な右腕の痺れに膝をつく。
「…あの牙に毒が…もう右腕は使い物にならない、か。……全身に回るまで、いつまで持つか」
痺れは徐々に痛みへと変わっていく。
…これは、死に至る毒だと、悟ったのは。
ここから考察。
「あの蛇に恐らく理性はない。痛覚はあるみたいだから殺せる。弱点を探せばどうにかなるかもしんないけど…でもあの小太刀を取りに行かないと戦えないっていうのは…」
そう言いかけると同時に蛇は大勢を立て直す。
ただ、小太刀はその目に突き刺さったまま。
どうやら深く食い込んだそれをどうにかするのは諦めたようだ。
よってAに手持ちの武器は、ない。
「主…！」
ふと、視界の端にこちらを見て叫ぶ清光の姿が映る。
「余所見とは随分と余裕だなァ！」
「ッ！、清光！！！」
「ぐあッ」
Aの声虚しく、清光はその身体を薙刀で一振りされ、思い切り床に叩きつけられる。
「…み、んな」
Aは遠くで戦っている己の刀剣たちを見やる。
10振りとはいえ先の疲労がある彼らと万全、尚且つ力を手にいれた岩融。
五分五分、とはいかないようだ。
「…いやぁ…本当、あんたらには驚かされる。あんたの姿もだが…なんなんだ、あのデカブツは」
「はっ、俺も知らん。…神とはいえ力を暴走させれば己の命は削れる。主もそれだけの意思があるってことだ。俺らが主と娘の戦いにこれ以上口を出すなってことだろうな」
「…俺は」
岩融の話にそう言葉したのは三日月。
主の方をただ見据え、言葉だけを岩融に投げかける。
「…それでも俺は主を救う。主が三者の介入を良しとせずとも、あんたと戦うより主を守る方が遥かに大事なこと。…本当は、あんたもあの女の元へ行きたいんだろう？あれ以上力を使えばあの女、
…死ぬぞ？」
「…ッ！！」
核心、
岩融は目を見開いてギリ、と歯ぎしりした。
そんなこと、わかっていると言うように。
「ごほっ、」
輪廻が、大きく咳き込む。
同時に、蛇の姿も揺らぐ。
Aは一か八か、と蛇の元へ駆け出した。
「ぬしさまっ！！！！」
「私は…死んでも私の刀たちを守る！！！」
ーーーシャァアアッ！！！
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黎奈(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます！！すごく面白かったです。完結お疲れ様でした！第四訓で宗三左文字が宗山左文字になっていらっしゃるのでご報告させていただきます。あと、ちょこちょこ報告に来るかもしれません… (2015年10月18日 22時) (
レス) id: 339ceb4b4b (このIDを非表示/違反報告)
華維璃(プロフ) - お疲れ様でした！とても面白かったです！小説の書き方、参考にさせて頂きます<(_ _)> (2015年9月22日 20時) (レス) id: 5dbf713d35 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - お疲れ様でした！ (2015年7月19日 17時) (レス) id: bbc5de6b90 (このIDを非表示/違反報告)
らい兎(プロフ) - 第三四訓の「突き出ているのは日本の大きな角。」というところもしかして日本→二本でしょうか？面白かったです。 (2015年7月13日 23時) (レス) id: 5d4b050560 (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - お疲れさまでした、面白かったです！宗近のじいちゃんが入手できないのが痛いですね。 (2015年7月10日 19時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：稜 | 作成日時：2015年4月10日 14時
